――――。
「あれはアクアアートっていって、
魔法で空に水の彫刻を飛ばしながら街全体の温度を一定に保ってるんだ」
空飛ぶ水の彫刻アクアアートは竜や人など様々な形になりながら頭上をゆっくりと通過していく。
「わあ、凄い!」
水彫刻が通る度に暑い日差しを和らげるようにひやりとした空気がやってきて、
大通りの商人や街の中の人々の活気を取り戻させる。
二人は甘菓子やら果物やら鉄の臭いやらが
いろいろ混じった中を目まぐるしく歩き続けていった。
開けた場所に出ると、
石畳の上に立つ大きな大理石と数々の歴代人物の彫刻が掘られた建物。
銀行が目に入った。
「――そうだ、お金を預けよう」
「?」
ユウトはかさ張る荷物を目の前の銀行に預けることを思い立った。