地響きに似た音で丁度三人が並んで入れるほどの入り口ができた。
「古風なシステムなのね」
スーシィがぼそりと言った。
「ちょ、あんたそんな生意気言って入学するつもりなの?」
「先に言ったでしょ。私はこの姿でいると色々不自由だから、
どんなところにせよ入らないわけにはいかないわ」
信じらんないというアリスの目の前に光の魔方陣が発生した。
そこからフラムは現れた。
「ようこそ、フラメィン学園へ」
老人の体は夕陽によって紅色に光っていた。
校内へ入るとまず学園生徒の目がユウトたちを奇異の眼差しで迎えた。
美しく清楚な床と光り物がほどよく並ぶエントランス。
そこを歩くのはぼろぼろのアリスに変な服を着たユウト。
そして明らかに年齢的に場違いに見えるスーシィとで、三人は注目の的だった。
「アリスの奴、帰ってきたのか?」
「信じられねえ」
ユウトは全ての会話を聞いていた。
そしてその全てがアリスに向いていることに不思議を感じていた。
学園外の者とはいえ、ユウトとスーシィの二人に陰口を言う者はごくわずかであった。
別室に案内された三人は園長フラムと対峙した。
園長室と呼ばれるその空間は炎の精錬を施した特殊な大理石によって夜でも静かに光り輝いている。
「私、スーシィと申します」
「ふむ、してアリスとユウトかね」
髭を撫でながらなめるように見るフラム。
「私がわからないってどういうことよ」
「ほっほ――、随分と見窄らしき姿になったものでの。
ほれ、自分の脚でも立てぬほどに手負ったのは自明の理じゃしの」
「……」
ふふと愛想笑いをするスーシィをアリスは睨んだ。