Neetel Inside 文芸新都
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「……理?」
理って。あの理?
メガネかけてたったけ?
「理、俺のこと覚えてる? 同じクラスだった優だけど」
「あぁ。覚えてるよ。今は引きこもりの優だろ?」
酷いなお前。
いや、最低だよ。
「相変わらずモテモテだな」
「モテモテ? はっ! 冗談じゃない! 俺はこいつらの所為で人生滅茶苦茶にされたんだぞ!?」
そうなのか?
特にメガネかけてるとこいがい変わったとこないけど。
「なんだ。どうしたんだ一体」
「お前人生ドッキリでしたって言われた事あるか? ないだろ。俺にはあるんだよ!」
なんだかよく分からんがきっと大変だったんだろう。
「そうか。頑張れ」
「いいよなぁ。お前。人生楽そうだよな」
別に、楽って訳でもないんだけどな。
まぁどうでもいいや。
妹は既に聖と何か話しているようだ。
千華は何故か知らんが巫女服の奴とメンチきり合ってる。
何があった。べつにどうでもいいんだけど。
「そうだ、紗那。何の用で呼んだんだよ」
「ん? そういえば、私が呼んだんだっけ」
自分で呼んだ事を忘れる。
取りあえず病院で検査を受けた方がいいと思った。
「何も用ないなら帰るぞ」
「む、それは少し惜しい。それじゃあ散歩でも頼もうかな」
「おk。把握した」
紗那の車椅子を押しながら散歩している俺。
あれ? 俺引きこもりだよな。
「ねぇ、公園いこう公園。昔よく行ったでしょ?」
「ああ。あの、ブーン公園?」
記憶から頑張って取り出してみたが紗那は首を横に振った。
「違う違う。マンドクセの方だよ」
「知らねぇよ……」
場所が分からないので紗那に案内してもらってった。
途中坂道がありかなりきつかった。
おれは引きこもりなのになんでこんな過酷な肉体労働を強いられるのだろうか。
「ほらぁ。ここここ。覚えてるでしょ!?」
「ああ……思い出した」
この公園はベンチと砂場と水道以外何もなかったんだけど何故か紗那が好きだったんだ。
中央にドクオの銅像があって、プレートでマンドクセって書いてあるのでそう呼ばれてる。
正式名称知らない。
「ここでね、優君が転んで泣いちゃって。あの時は可愛かったなぁ」
なんか語り始めたけど。おれそんな記憶ないなぁ。
「ベンチ座ろうベンチ」
ベンチまで進めたけれど当然立てないので抱きあがらせて座らせた。
本当に、俺引きこもりなのに。
「はぁはぁ……疲れた」
「クスクス……楽しいね」
疲労している俺に向ってこんな事をはきやがる。
まったく。本当に疲れた。もう動きたくない。
「つまらんかった。けどまぁ……」
ベンチにもたれかかって俺は目を閉じた。
「有意義ではあったな………」
ぼそっと、紗那には聞こえないように呟いた。

       

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