Neetel Inside 文芸新都
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鉄火
「それはいいんだけど、君さあ、もっとしっかりしないとほんとにTIG男に舐められてるよ」


「だってな、イレズミとか入れてるし、コワイやんか」

鉄火はアイター・・・という顔をし、少しうつむいてから俺をキッと睨む

鉄火
「私心配だよ、あんた今日も昼休み明け、TIG男にTIG棒(※1)でふともも叩かれてたじゃんか!」
「しっかりしないと、この会社勤まらないよ!」

どこで見てたというのだろう、TIGには工場の外で叩かれてたのに

鉄火
「あのさあ、困ったことあれば私に言うといいよ、隠すこと無いからね」

突如差し伸べてもらった手に心の堤防が決壊してしまい、俺は何も言えず、ただ沈黙する。

その後、彼女からまた彼女の有無や実家はどこなのか、などという質問に
嘘偽りなく答えていると、意外にも俺はしゃべっていることに気付いた。
人間やれば出来るものだ、いや彼女だからこそなのかもしれないが。

自己満足に浸っていると、鉄火が俺の思考を遮るがごとく口を開く

鉄火
「今度一緒に出かけよっか?何回も言ってんだけどさ」

俺は後々考えてみるとなぜここまで即答してしまったのかと考えさせられるくらいに
滑らかに、かつ俊敏に返答をしていた。


「うん、いこか」

鉄火
「じゃあ私が行くとこ決めるよ、君優柔不断どころか目的地もヘンなところになりそうだし」

ああそうさ、俺こそがMr優柔不断、お昼のメニューも毎日5分はコンビニで悩むぜ
とにかく約束は締結されたので、ここまでとんとん拍子でいいものかととまどいもあったが
俺は彼女との初の「おでかけ」という響きにに心を弾ませていた



(※1)TIG棒・・・TIG溶接(Tungsten Inert Gas溶接)に使う熔材
          作者は不勉強の為よく知らないが、聞いたところによると
          1.5m前後の針金のような棒らしく、それで太ももを叩かれると猛烈に痛い。
          主人公がそれを痛がっていたのか、喜んでいたのかは不明
          多分痛いはず、いや痛いに決まってる
   

       

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