「観念しなよ女。お前は男を弄ぶことの意味を判っていないからこういうことになるのサ」
なんという用意周到さだろう。路地をいくら回っても先回りされていて、気づけばどこぞの倉庫。
そしてそいつは目の前にいて、私の頬を舐めていた。
「――っ」
脚が震える。もうだめだ。違う。何かがおかしい。どこで間違えた?
男を通して後ろの男の数を見る。とても逃げ切れる状況ではなかった。
「女相手にみっともない――人数だとは思わないの」
「おー、おー。そっちが地かあ。
『今日は見逃してくださ~い』とか言い出したら俺っち手加減出来なかったよ」
ぐへへと嗤う烏合の衆。
次の瞬間には鉄パイプが脚に打ち付けられていた。
「――あ゛っう」
「良い声だ。物乞いしてる時よりその声聞かせてやった方がみんなもっとホイホイついてくるぜ」
だめだ――。痛みで頭が真っ白になっていく。
これからされることはただのリンチじゃない。判っているのにタクヤ君の顔が浮かぶ。
頬を何かが伝っていった。
「おいおい、泣き脅しかあ? つくづく都合の良い女だな! そらっ」
「あぐっ――」
腕がぶたれておかしな方向へ曲がった。堪らず地面へ頭を突っ伏す。
「俺のプライドは傷ついたんだ。わかるか? お前のおかげで……」
ああ……やっぱり小さい男だ。
折れた腕も構わずに大の男が二人がかりで私を起こし、持ち上げる。
「ぃ――っう」激痛――。もう帰りたい。悪い夢なのだと思いたい。
どんどん人気のないところへ連れて行かれる。抵抗なんて無意味だ。
自業自得だと嗤う奴もいる。
「スカートが破かれるのと、丸坊主。どっちがいい?」
もはや、何処かの廃墟としか言いようのない場所でその汚顔の男が言い出した。
「どっちもイヤ……」
また盛大に笑いが上がる。何を言ってもこいつらには判ってもらえないのだろう。
それが、レイプってものかと一人納得している自分がいた。
そこからは酷く短絡的な作業でしかなかった。
私は春も覚束ない夜空の真下で赤裸々な姿を晒していた。
「さーて、入れちゃいますよ~」
男の一人が私の秘部を乱暴にまさぐった。