Neetel Inside 文芸新都
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5.4.プツッっ と音がして画面の中の黄色い狸は姿を消した。

父はビデオデッキに怨念を詰め込んでから消したテレビの電源をもう一度入れた。
「怨念を再生すればみんな帰ってくると思ってるんだ!!」
腹が立って怒鳴ったのは父の怨念は数え切れないほどの色が混ざり合って気持ち悪い色になっていたからで僕は言わなくていいことまで言ってしまう心の中で。
「肉棒が消えてなくなったなんて嘘だ!父さんは僕に見せたくなかっただけだろう!!」
でも心の声が聞こえない父がビデオデッキをスタートさせたから僕は画面に気味の悪いものが映る前に部屋を出て家を出てにんじん畑へ行った。

にんじん畑には兎がいた。
僕は兎に遊ぼうと言って一緒に飛んだり跳ねたりしながらいろいろなことを忘れた。
だから僕の家が森になっていることに気が付かなかった。

兎がにんじんの盗り方を教えてくれて僕がキャロットハンターになることを夢見たりしてる間に森はどんどん大きくなってにんじん畑を飲み込んでしまったけれど、いろいろなことを忘れていた僕はどうやって家に帰ろうか心配しただけで飛び跳ねるのを止めなかった。森はもっともっと大きくなって川や道路やにんじん畑を飲み込んでさらにさらに大きくなった。
僕はようやく驚いて家に入って父を探したけどいなかった。

「そうか!父さんは森になったんだ!!」
兎が何も言わないで僕を殴った。

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