Neetel Inside 文芸新都
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「はい」

ちよちゃんがかみさまに、折り紙のツルを渡しました。
プレゼントというわけではなく、何となくです。
かみさまは歌っていたうたをやめ、そのツルをじっと見ています。
「うれしい?」
ちよちゃんがきくと、かみさまは何も言わず、
ツルを持ったまま窓の外へ飛んで行ってしまいました。
「なによぅ」

その日のお夕飯は、ちよちゃんの大好きなオムライスでした。




ちよちゃんがかみさまをじっと見ています。
かみさまは気にするふうもなく、ぷかぷか浮かんでいます。
「ねぇ」
ちよちゃんが口を開きました。
「おなまえは?」
かみさまはもちろん答えません。
けれどちよちゃんは、かみさまの名前が気になって仕方ありません。
今まで考えた事もなかったから、よけい気になるのです。
「ねーえー、おなまえはー?」
ちよちゃんはだだをこねるように言いました。
そんなちよちゃんの方を向きもせず、かみさまはすっと手をあげました。
すると、
「ただいまー。」
「あっおとうさんだ!」
ちよちゃんは玄関へと走っていきました。
いつもより早く帰ってきたお父さんに、ちよちゃんは大喜びです。
「おとうさんおかえり!」
「ただいま、ちよ。一人で遊んでたのか?」
「うん!おとうさんあそぼ!」
「はいはい、着替えてからな。」

ちよちゃんはかみさまの事をすっかり忘れてにこにこしています。
かみさまは一人お部屋でうたを歌っていました。

       

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