Neetel Inside 文芸新都
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「ちよ、誕生日おめでとう。」
「おめでとう、ちよ。」

今日はちよちゃんの4歳の誕生日です。
おっきなケーキとごちそうを前に、みんなにこにこ嬉しそうです。

「ほら、ちよ、プレゼントだぞ。」
「おとうさんありがとう!」

そんなみんなを見ながら、かみさまも何だか楽しそうです。

「わぁ!」
ちよちゃんがプレゼントを開けると、中にはちよちゃんが前から欲しがっていたお人形が入っていました。
「ちよ、前から欲しがってたもんね。でも大事にするのよ?」
「うん!ありがとう!」
ちよちゃんはお人形をぎゅっと抱きしめました。



その夜の事です。
ちよちゃんが眠っていると、誰かが肩を叩きました。
「…?」
目を開けると、そこにはかみさまが浮かんでいました。
かみさまはちよちゃんの手をとると、ふわりと優しく起こしました。
「なぁに?…ねむいよぅ」
かみさまはちょっとすまなさそうに、だけどあわてたようにちよちゃんの手を引きます。
「…おそと?」
かみさまは窓の前で止まると、外を指差しました。
「…わぁ」
ちよちゃんが窓の外を見ると、夜空にはいちめんの流れ星です。
「きれい…」
願い事も忘れて、ちよちゃんは空を見上げました。
かみさまも、静かに星を見つめています。
「ありがとう」
ちよちゃんはかみさまに言いました。
けれどかみさまは、ちよちゃんの肩に手をおくと、小さく首を振るように頭のあたりを動かしました。
「?」



「*****」



不思議そうにしているちよちゃんに、かみさまが何かを呟きました。
「え?」
ちよちゃんは聞き返しましたが、かみさまはまた窓の外を見つめ、黙ってしまいました。


夜空にはとめどなく星が流れ、ひとつ大人になったちよちゃんを見下ろしていました。

       

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