Neetel Inside 文芸新都
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(……ますように)


今日はちよちゃん、お父さんとお母さんとお詣りにきました。

ここはお母さんの田舎からほど近い神社です。
きれいで不思議な鳥居をくぐり抜け、ちよちゃんはちょっとだけはしゃいでいます。
「ほら、ちよ、お供えしたらお祈りしなきゃ。」
「はぁい」
お母さんにうながされて、ちよちゃんは手を合わせて願い事をしました。

(…ますように)

「ちよは何お願いしたんだ?」
帰り道、お父さんがちよちゃんにたずねました。
「ないしょ」
「えー、ちよ、内緒か?」
「うん、ないしょ」
「ちよ、お願い事はね、ひとに言わない方がいいのよ。」
「そっかぁ、内緒かぁ。ちなみにお母さんは何をお願いした?」
「なーいーしょ、よ。」
「気になるなぁ。」

二人と手をつなぎながら、ちよちゃんはにこにこしながら、心の中で呟きました。

(きょうはゆっくり、おやすみできますように)



夕方、ちよちゃん達がおじいちゃんとおばあちゃんの家に帰ると、玄関のドアの
前にかみさまが浮かんでいました。
ちよちゃんは元気に「ただいま!」と言いました。
「ちよ、ただいまは玄関あけてからね。」
「へへー」
ちよちゃんはお父さんの腕にからみついたまま、かみさまの方をみて笑いました。
かみさまも、笑っているようにみえました。

       

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