Neetel Inside 文芸新都
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ある真夜中の事。
ちよちゃんが自分のお布団の上にしゃがみこんで、しくしくと泣いています。
ふと目が覚めてしまい、起き上がったのですが、急に怖くなって泣いてしまったのです。
大きな声を出すのも何だか怖くて、ちよちゃんは一人、静かに泣いています。
天井の染みや、月明かりに浮かんだ影さえ恐ろしく、顔をあげる事さえできません。
そんなちよちゃんを、かみさまはじっと見つめていました。
歌をうたうわけでもなく、何もせず、ただ見つめています。
時計の針は、さっきからずっと同じ時間を指しているように思えます。

「大丈夫だよ…怖くないよ…」

その時、誰かが優しくちよちゃんに声を掛けた気がました。
(だれ?)とちよちゃんが顔をあげようとした瞬間、かみさまがすっと手をあげました。
すると部屋の中が柔らかな光に包まれ、すべての影が消えたように見えました。
それもほんの一瞬の事で、すぐに部屋は同じ夜の中に沈みました。
不思議な事に、ちよちゃんはもうすっかり怖くなくなっています。
怖くなくなったらまた眠くなってきました。
かみさまは、そんなちよちゃんの頭をそっとなでると、お布団に寝かしつけてくれました。

「おやすみなさい…」

ちよちゃんはすぐに夢の続きに戻りました。


翌朝、お母さんがちよちゃんを起こそうとすると、
お布団のそばに小さな蛾が死んでいるのをみつけました。
お母さんは「きゃっ」と叫んでお父さんを呼びに行きました。
かみさまはどことなく寂しげに、うつむいていました。

       

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