Neetel Inside 文芸新都
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「たぁくんこんにちは」

ちよちゃんがお部屋でひとり、遊んでいます。

「やあちよちゃん、こんにちは」

そう言ってちよちゃんはたぁくんの手を持って、自分の頭をなでました。

「きょうはいいてんきだねぇ」
「あめですよ」
「かえるはね、あめがすきなんです」
「ははぁ、そうですかー」

ちよちゃんはたぁくんを自分の前に座らせて、自分も座っておしゃべりをしてます。

「そとにいきたいね」
「あめですよ」
「かえるはね、あめがすきなんです」
「そうですかー」

窓を叩く雨は賑やかで、ちょっと外で遊ぶにはむいていないようです。

「ちょっとだけおそといく?」
「どうもどうも」

そう言ってちよちゃんはたぁくんを抱き上げると、窓を開けました。
そしてたぁくんを持ったまま、外に出しました。
たぁくんはみるみる、びしょびしょになってしまいました。
しぶきがちよちゃんの頬にはねています。
「あっ」
あせってちよちゃんはたぁくんを中に入れましたが、すっかり水を吸ってしまっています。
ぽたぽたと、水滴が床に落ちました。
「たぁくんごめんね」
ちよちゃんが言いました。
たぁくんは黒い目でちよちゃんを見つめています。

(いいえ、ありがとうございます。)

そんなちよちゃんに、たぁくんはそう言っているように思えました。
ちよちゃんはたぁくんを抱きかかえると、すぐにお母さんに謝りに行きました。
かみさまは部屋のすみでぷかぷかと、ずっと幸せそうな歌をうたっていました。

       

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