Neetel Inside 文芸新都
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ある、朝の話です。

「ちよー、起きなさい…って、あらもう起きてたの?」
「うん!」
「ちゃんとお着替えまでして…どうしたの?」
「なんかね、めがさめちゃったの」
「そうなの?眠れなかった?」
「ううん。だいじょぶだよ」
「そ。でもちよ、そのかっこおかしいわよ。こっちのシャツに着替えたら?」
「えー」
「着替えたらご飯だからね。」
「はーい」

ちよちゃんはしぶしぶ、お母さんの選んだ服に着替えました。


「あれ?ちよ、お箸の持ち方ちゃんとしたんだな。」
「え?あらほんと。昨日までおかしかったのに。」
「おかしくないよー」
「ちよ昨日までこーんな持ち方してたぞー?」
「してないもん」
「練習させたわけじゃないのに、不思議ねぇ。」
「まぁそろそろ直さなきゃって思ってたし、手間がはぶけて良かったじゃないか。」
「それもそうね。」

ちよちゃんはどこか得意げに、ご飯を食べています。

その時、ふいにかみさまがトントンとちよちゃんの肩を叩きました。
「?」
ちよちゃんが振り向くと、かみさまはテレビを指差しています。
「お、ちよ、今日の占い一番だぞ。」
「えっほんと?」
ちよちゃんがテレビを見ると、確かにちよちゃんの今日の運勢は最高なようです。
「恋愛運も最高かー、お父さん、心配だなぁ。」
「お父さんたら、バカな事言ってないで早く食べちゃいなさい。」
「はいはい。」
ちよちゃんはそんな二人の会話を聞きながら、まだテレビを見ていました。
占いのコーナーが終わり、ニュースに変わったのを確認すると、ちよちゃんはかみさまの方を振り向きました。
そして、
「ありがとね」
と呟きました。

ちよちゃんよりは少し良くなかったけれど、お父さんとお母さんの運勢もなかなか良く、特に恋愛運は最高でした。
そんな食卓をぷかぷかと見守りながら、かみさまはおかしな歌をうたっていました。

       

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