Neetel Inside 文芸新都
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「やだっ!ほしいの!」
ちよちゃんがだだをこねています。
ちょっぴり高いお人形が、どうしても欲しいのです。
それはキレイなドレスを着たお姉さんのお人形で、お母さんは
「まだちよには早いわよ。」
と言って買ってくれません。
「ほーしーい、ほーしーいーのー」
「ちよ、わがまま言わないの。それよりほら、あっちのぬいぐるみは?ちよちゃんカエルさん好きでしょ?」
「やだ!ちがうの、これがいいのぉ」
ちよちゃんはとうとう泣き出してしまいました。
すると今までだまってぷかぷか浮いていたかみさまが、すうっとちよちゃんに近づいて肩を叩きました。
「…なに?」
赤くなった目でちよちゃんがかみさまをにらみます。
かみさまはそんな事は気にせずすいっと手をあげると、少しはなれたところにいる、
ちょっと身なりのいい男の子を指差しました。
としはちよちゃんより少し上くらいでしょうか。
いかにも「おぼっちゃま」といった感じの男の子です。
「…あの子が、なぁに?」
ちよちゃんがきいても、もちろんかみさまは何も言いません。

けっきょく、ちよちゃんは緑色の、大きなカエルのぬいぐるみを買ってもらいました。

       

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