~~作戦、二日め~~
短期のアルバイトであることもあり、リアナとロビンは即採用になった。
作業とかは基本的にリアナがやるけど、ミミちゃんもできるところはやる。
そしてそのフォローをロビンがする、という役割分担だ。
ロビンならウェイターのしごともできるだろうし、ボディーガードとしても申し分ない。
ひとつよくわからなかったのは、ロビンの付き添いとしてぼく(たち)が店の前まで行かされたことだ。それも、ユーシスちゃんが選んでくれた、あの可愛い乗馬服風の服で。
『しごとをやりやすくするためだにゃん。
男どもは詳しいことは考えなくていいのだにゃん。』
その理由を聞くとミューはそういってぽん、と小さな手をぼくの頭に置いた(ミュー自身は肩の上にのっていた。毎度のことだが、ひげがくすぐったかった)。
その日の夜、リアナとミミちゃんは上機嫌で、ロビンは複雑な表情で帰ってきた。
『せんぱいのウェイターさんにすてきなおにいさんがいたの!
オトナってかんじじゃあんまりないけど、でもやさしいの!
おにいちゃんってかんじかな? わたしきょうだいいないから、ほんとのおにいちゃんってどういうのかわからないけど……』
『よかったわねミミちゃん!
リアナとロビンから見てどうだったの?』
アリスの問いにリアナはにこにこして答える。
「ええ、とてもやさしい方だったわ。
面倒見のとてもいい方で、わたしにもロビンにも分け隔てなくいろいろと教えてくれたの。まずはこのまま先輩後輩としてお付き合いしてみますわ」
「俺も同じ意見だな。
まあちょっとその、こう、やきもちやきそうだけどさ……」
『“やきそう”ではないにゃん。おまえはとっくにやいてるニャ』
「そ、そんなことないって!
と、とにかく、俺はじゃましないから、しっかり見極めてくれよな!
俺もちゃんと見てるけど!」
『そのことだが、明日からはクレフ、というかアリスもあの店にいってくれないかにゃん。
クレフのバイト捜しの行きかえりとか、昼飯どきにちょっとでいいのだにゃん。
ロビンと小さな声で会話してくれだにゃん』
「ぼくはいいよ、アリスは?」
『あたしも別にいいけど……
でもなんであたしなの? クレフじゃダメなの?』
『うむ。おまえでなければだめだにゃん。
くわしいことは微妙なモンダイだからいわないが、クレフの場合だとハナシがややこしくなるのだにゃん。だからアリスがいいのだにゃん』
『? わかったわ』
『服装はできればあのジャケットをきてくれニャ。ジャケットだけでもいいがニャ』
「うん、わかった」
アリスの方がぼくよりしっかりしてるからな。とりあえずジャケットを忘れなければいいか。
しかしぼくはなにやら奇妙な感じを持った。
その感じは、バイト探しの行きがけに、喫茶店の前でアリスとロビンが会話したときにも感じた。
そしてそれは、アルバイト募集(会計できるとなおよし、条件応相談)の張り紙を見て入った薬局で明白になった。
ぼく(たち)は思いっきり、女性と間違われたのであった。