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文芸で生き残るには(似非エッセイ)11/08

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 ここに一つの案を提示する。お題は【いかに読んでもらうか】である。まずは第一関門として我々に立ちはだかるのはTOPページである。
 通常、新都社に限らず初めて見るサイトで一番初めにやることはなんだろうか。当然、興味を引くコンテンツを探すことである。勿論興味のあるコンテンツを求めてサイトを選んでいるのだからここは新都社にきた理由を【漫画がただで読める】という興味に仮定する。
 その場合、我々文芸(ニートノベルを含む)陣はどうする事も出来ず、運よく目に留まるのを待つしかない。
 まさに絶望的とも言える確立である。誰が漫画を読みに来て小説を読むだろうか。一概に居ないとは言い切れないが、過半数がこのような文字の羅列を見るだけでブラウザの戻るないしバックスペースをそっと押すだろう。
 がしかし、それでも読まれている作品は多数存在する。過去の例を挙げれば「オナニーマスター黒沢」に始まり「剣と槍。抱くは大志」や「あの世横丁ぎゃんぶる稀譚」など一度は聞いたことのあるだろう超有名どころのタイトルばかりであると思われる。
 これらは地道な努力やその面白さで確実に読み手を惹きつけてきたが、果たしてそれらの作品ははじめから超有名の名を冠していたのか。
 答えは勿論否である。たしかに作者名や挿絵など多くの外的要因の影響を受けていることは確かである。もしそれらが手っ取り早く手に入るのならこんなくだらない検証を読むのはさっさとやめてそれらのファクターをつかって人気作の名をほしいままにすればいい。
 だがしかし、多くの文芸陣は心のどこかで思っているはずであろう【自分の力だけでのしやがってやる】という欲望がどうにもこうにも厄介にそれを邪魔するだろう。故に私は別のアプローチを提示する。
 まず、先に少しだけ触れたTOPページと人間の興味や記憶に関する事である。
 人間の脳は五感で感じた情報を大きく分けて三つの箱に収納する。まずは感覚記憶。ここは映像や音を収納する箱で、記憶される時間はわずか1~2秒ほどである。次に、短期記憶と呼ばれる場所で、先の感覚記憶とは違い20秒程度の記憶が可能である。そして、最後に長期記憶がある。これは繰り返し記憶や復習といった動作を繰り返すことで前の二つとは違い、忘却しない限り死ぬまで記憶することが可能である。ここで注目したいのは短期記憶である。ここはぱっと見た情報を記憶できる領域であり、その上限は7±2であるとされ、これをマジカルナンバーと呼ぶ。このマジカルナンバーこそが読者を獲得するための重要なキーとなる。
 最初に、TOP画面に表示される最新作品更新情報を見ていただきたい。はたしていくつの作品があるだろうか。私が見たときは漫画が8に小説が4であった。ここにマジカルナンバーを当てはめると、7±2。つまり9つ目の作品。つまり小説で言う一番上の作品のみがぱっと見て記憶に残るという事になる。さらに、そのタイトルが7±2の文字数ならより効果的であるといえる。
 つまり、更新時には上から何番目にあるかというのを常に確認しながら更新ボタンをおすとより効率よく読者の脳に自分の作品をサブリミナルのように刷り込むことが出来る。
 次に、タイトルについてである。
 我々は日本人であり、母国語として日本語を使用している。つまり、無意識下で日本語に目を向ける傾向があるといえる。
 考えてみてほしい。あなたはぼんやりリビングでくつろぎならがころころとホイールをスクロールしながら眺めている画面に躍る文字の意味を一つ一つ理解することが可能か。もちろんある程度は出来るであろう。が、あまりに長い物や知らない英単語が現れた場合はどうか。私は到底理解できないだろう。
 そして、私自身が興味を引かれてクリックを促されるときは面白そうであったりその単語である程度内容が予想できるものになる。
 と、言うことはここから導き出される最適な作品タイトルというのは日本語かつ難しい言葉や漢字を使わず内容がぱっとわかるような物にすることである。
 実例を挙げるとするならばオナニーマスター黒沢がこれに当てはまる。まず、カタカナの部分が8文字。そして漢字が2文字。通常、カタカナと漢字がぱっと並べられた場合我々は別のものとして考える傾向がある。と、言うことは前半部分がマジックナンバーに該当し、かつそれを見ただけで興味をそそられるものとなっている。
 つまりはマジカルナンバーを意識しつつ日本語でわかりやすいタイトルをつけるというもとの結論に集約する事となる。
 さて、おめでとうございます。これであなたはようやく作品のTOPページへと読者を導くことが出来ました。
 ここから第二の関門。作品を読んでもらうという物になります。
 TOPに来たら普通は読むんじゃないの。そう思う方も多いと思うが、実際はとりあえずクリックしてみたというユーザも比較的多い。これがサイトのアクセス数はそこそこあるのにどういうわけかコメントが増えないといった問題の一つの原因である。
 ではなぜそのような現象が起こるのか。それは新規読者の心理に深く関わってくる。
 まず、あなたが一つの物語を読もうと思った場合を想像していただきたい。その場合、開いたページに無数のタイトルがあったらどう思うだろうか。私ならそっとバックスペースを押すに違いない。よって、長期連載の作品はここで大きなアドバンテージを追うことになる。がしかしそれでも問題はない。ユーザが作品を読まずに立ち去る理由は先に記したとおり、物語の膨大な量にうんざりしたからに他ならない。ならばこちらでそれを少し緩和してやればよい。
 その方法はもちろん【あらすじ】や【登場人物紹介】などである。特に書いている本人が登場人物の名前を間違えた。などという人にはぜひ実装していただきたい項目である。
 自サイトを持っているのなら他のタイトルより気持ち分文字のサイズを大きくしたり文字色を変えることも有効だが、ここではニーテルの標準テンプレを使用していると仮定してそのあたりは割愛する。
 さて、これでユーザが読者になる前にどこかに行くのを防ぐことが出来た。
 次は中身に移りたい。
 移りたいのだがここで少し待ってほしい。もしかしてあらすじや登場人物紹介にずらずらと文字を並べては居ないだろうか。それならばいそぎそれを近くのゴミ箱にD&D(ドラッグ・アンド・ドロップ)してしまった方がいい。読者というのはたいそう面倒くさがりで、興味がない物にはとことん興味がない。なのですこしでもライトにそれでいてヘビーに要点を抑えた情報の提示が必要となる。
 さて、下準備が終わりいよいよ物語に興味を持った読者があなたの作品の記念すべき一羽をクリックした。
 実に心躍る瞬間である。自分の頭の中にしかなかったものが文章という媒介を通して他社にしみこんでいく。考えただけでもぞくぞくする。
 が、しかしその文章は本当に読まれているのだろうか。
 まず、文章の体裁。たとえば基本的な文頭空けや文頭への【ー】などの記号や【っ】などが混じっては居ないか。ニーテルの体裁上自分で作成した.txtファイルをアップロードするので文頭への記号など通常もってくるべきではないものを持ってきがちだが、横は43文字であるのでメモ帳や外部ツールを使う際にはすこし設定を見直すのもいいかもしれない。
 さて、なぜ文頭空けをあげたのか。それは単にぱっと見の美しさである。あえて例は挙げないが文頭が開いていないとどうにも窮屈な見た目になり、実際以上の文字数を感じてしまう事があるので注意されたい。
 体裁を整えれば次は誤字脱字が待っている。
 
 あたしわ天災だ。
 
 この文章だけでお分かりだろう。まぁ、これが天候や自然災害を擬人化した作品なら別になるがこんなものはちゃんちゃらおかしい。
 おかしい。そう思われると読者の意識はそこでいったん停止する。はたしてこれはどういう意味なのか。そう考えてせっかく浸りかけていた物語からすっと出て行ってしまう。
 なので誤字脱字には十分気をつけることも必要となる。
 さて、回りに回っていろいろ手を加えた。これで感想がもらえる。
 そう思ったら大間違いである。
 これから先は文章のリズムや言葉選び。そして当然物語り自体の面白さや集客力など多くの問題が待ち受ける。
 が、しかしこれをお読みの方はもちろん自分の文章や物語に自信を持った方々ばかりだと推測するので、そこは無用の心配だとは思われる。
 なので、ここまで読んでいただいた皆々様にはぜひここまでに記した手段をうまく使い更なる高みへと飛翔していただきたく思う。
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