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ただしいおこない

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「あなたは……まさか、伝説の?」
「そういうことになるな」

 俺は異世界に転生した。そして、魔王を倒すのだと女神から指令を受けた。
 そしてまずは始まりの村から冒険が始まるのだが……

「魔王、ですか。しかし魔王はもう……」
「ああ、どうも、あそこにいるようだな」

 俺の視線の先で、魔王の少女はブランコに乗り、こっくりこっくりしている。

「異世界平和条約……本当に実現していたとは」
「ええ、なので、もう倒す必要はないのですよ」
「しかし、女神から指令を受けたのだが…」
「いいのではありませんか? 正しいことが全てではありません」
「なるほど」

 たしかにそうだ。あんなにかわいい子を殺すなんてできない。女神が間違っていたのだ。
 俺は武器屋にいってすぐに剣を売り払った。
 その瞬間、爽やかな風が胸に吹き込んだ。ああ、俺は望んでいないことをしていたんだなと気づく。俺の望みは魔王を殺すことなんかじゃない。
 俺は街を去ることにした。そして自殺した。


















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