僕はポンコツ
3-append『キミはポンコツなんかじゃない!』
「………………
わたし……
ん、標準語はもうええわ。このほうがしゃべりやすいし。それにこれが、ホンマの話し方やし。
アサダくん。ウチね、正直に言うと、アサダくんの気持ちはわからへん。すんごくしんどかったんやろうし、つらかったんやろうけど、イマイチわからへん。
……ごめんな。
でもな、今の話聞いて、わかったことはあるよ。
アサダくん、キミは優しい。すごく、優しい。
許せないと許したい。その間ですごく苦しんでいるんやね。
ウチがアサダくんの立場やったら、ぜったい親のことは許さへん。謝られたときにブン殴るやろうし、そのあとも何回かはブン殴ると思う。あとは適当に繕って、大学の卒業までお世話になって、成人したら速やかに縁を切ると思う。
アサダくんは、そんなことはしぃひん。ちゃんと親と向き合おうとしてる。折り合いをつけようとして苦しんでる。
それは、立派なことやで? 大人やんか。自信持ったらええよ。
あんまり、力になってあげられへんね……ごめんな……
でも、嬉しい。話してくれて、嬉しい。
ありがとう。
でもな。
どうしても許せへんことがあんねん。
……自分のこと、悪く言わんといて。
責めたい気持ちもわからんことないけど、責めんといて。
ウチのことを利用する? ええよ別に。誰だって多かれ少なかれやってるし。
いくらでも利用してくれたらええし。
…………
……っ。
…………
あはは、涙出てきた……
ごめんな。
悲しいんよ。
アサダくんが、自分で自分のことを悪く言うんが。
……こんなときに言うことやないと思うけどな。
ウチな。
アサダくんのこと、好きやねん。
初めて会ったときから、ずっとずっと、好きなんよ。
…………っ。
放課後の勉強も、寄り道も、遊んだことも。
……っ。
めっちゃ楽しかった。
……っ。
もう、抑えきれへんぐらい、好きやねん……!
だからっ。
……だから。
……自分のこと、悪く言わんといてよ。
悪く、言わんといてよう……
言わないでよう……
かなしいやんか……
……うえぇぇぇぇえん。
うわぁぁぁぁあん」