グロタ地区スラム街および市街地周辺にはおよそ数百人近くの
黒服の民事警察や、ぺーエミ(軍警)、ボッピ(特殊警察部隊)が
警戒態勢に入り、巡行を繰り返していた
彼らの手に握られていた銃は、
およそ他国の警察官の装備では有り得ないものばかりである
べネリM3ショットガン、P-90、MP5、MP5Kなどのサブマシンガン、
AR-15、M-16、AK47、PARA-FAL、H&KG3などのアサルトライフル、H&KPSG狙撃ライフルなど
他国の軍隊の装備でしかお目にかかれそうに無いようなものばかりだ
道路に行きかうのはただ真っ黒な装甲車や、
武装した警察官を乗せたトラックのみである
街はまるで戒厳令の出された紛争地帯の一都市のような
重苦しい危険な空気に包まれていた
スラムの住民、市民の姿も乗用車の姿もほとんど見えず、
おそらく殆どが家の中に引き篭もっているに違いない
"少女"は、そんなグロタ地区のスラムのあるレンガ造りの家で暮らしている
外がこんな状況の中でも、彼女は日課のシャワーを忘れてはいなかった
シャワー上がりで黄金色のサラサラとした金髪をタオルで
拭きながら、彼女は一糸すらまとわぬ姿で部屋を歩いていた
歳は15ぐらいであろうか
今まさに熟そうとしている果実のように膨らんだ乳房
丸みを帯びた肩や腰…美しい鼠径のラインが生み出す恥丘
そして、それらを覆う白い肌…
これらのミストゥーラ(融合)は
もはやエロスを超え、一つの芸術味を帯びていた
まるでこれから美しいアゲハ蝶へと変身を遂げるように
成長がもたらす美しさの過程をあらわしているような
思わず、誰もが生命の神秘の一部として絵や写真に
したくなるような暖かさを秘めていた
「…………………」
まるでその美しい身体を封じ込めていくかのように、
彼女は白いパンティーと黒いミニスカートで恥丘を覆い隠していく
その後、青いキャミソールで乳房の下半分と腹の上半分が覆われていき、
皮のジャケットを羽織った…
その美しい白い二肢に煽情的な黒い網タイツが被せられた
仕上げに赤茶色のブーツに足を突っ込む
ブーツの中に足がはまる様に何度もつま先で床をトントンと叩きながら、
少女はトランクの方へと歩いていった…
少女が開けたトランクには顔写真が6枚入っていた
写真には推定30代前半から40代後半の年齢層の
白人、黒人、メスチソ、日系と様々な人種の男たちの顔が
映し出されていた…その内の3枚かには赤いマジックペンで×印がつけられており、
彼女はそれらを残りの3枚と振り分けるように、一枚ずつトランクの中へと捨てていった
「…………」
彼女は残った3枚の写真の内、一枚を取り出し、
残りをトランクの中へと捨て、その写真に写る男を凝視した
髪は黒髪、口ひげを生やし、開いた二重の目で、
小太りの白人男性…年齢は40代後半といったところだろう
彼女はその写真に赤いマジックペンで×印をつけ、×印のついた
3枚の写真の上にポイと載せると、そのまま夜のリオへと出て行った
警察官達がうろついている中でも、比較的
人通りが少ないところを縫って歩いていくかのように
彼女はコパカバーナへと続く道へと向かい、歩いていった