Neetel Inside ニートノベル
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そんな二人の花鳥風月
テーマ2「酔っ払い」

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★毒にも薬にもならない豆知識★
ゐ墨→ 吸血鬼。酒はめちゃくちゃ強い。 
リコ→ 酒はめちゃくちゃ弱い。でも大好き。


テーマ2「酔っ払い」


「でっへっへー 。いょう! 少年。私がいなくて寂しかったでちゅかー? なーんて、にゃーっはっはっは」
「うわっ。完全に出来上がっちゃってるっスね、これは。… しょーもない」

「愛しのリコさんでちゅよー」
「酔っ払いにも幾つかタイプがありますが、リコさんの場合は、元々陽気な性格に更に拍車が掛かるから手に負えない」

「んー、スリスリ。いしゅみ君は相変わらず青白い顔してるにゃー」
「そういうリコさんは桜色っスね。もう、酒弱いのになんでそんなに呑むかなぁ?」

「らってさぁ、君ってばこの時間帯はいっつもアニメ見てんじゃん」
「深夜アニメの時間帯ですからね。イカちゃん可愛いっスから。実況もしたいし。僕、基本夜行性ですし。常識的に考えて」

「なんらとぉー。私の事も可愛いって言えぇー」
「はいはいワロスワロス。… 勿論可愛いですよ、リコさんも。そんなの当たり前じゃないですか」

「でへ、でへへっ。ねぇ、ねぇ、どこが? 特にどこが可愛いのかにゃー? おねーさんに教えてみ?」
「そうですねぇ、その奇跡にも等しい愛らしき容姿もさることながら、やっぱりゲソって言うあの独特な語尾ですかねぇ」

「イカ娘じゃねーよ!!!」
「あっ、リコさんの方でしたか。… まぁ、わざとですけど。ってかリコさんの絡み酒って毎回こうなんだもんな」

「で? どこなのっ? どこっ?」
「そのメガネとか」

「ばかっ!」
「イタッ。ちょっ、痛いッスよリコさん。殴るのは禁止っていつも言ってるじゃないですか! 絡み酒だけならまだしも、リコさんの場合酔うと暴力的になるから危険なんですよっ」

「他、ほかはぁー」
「えーっと、その透き通るような白い肌、綺麗で澄んだ瞳、モデルのような体型、長く美しい髪、その… ぜんぶ、全部ですよっ!」

「えへ、えへへ。でへへっ。そーにゃの? いしゅみ君は、そんなにわたちの事が好きなのぉ?」
「ハハッ」

「そっかそっかぁ…… うっ、ううっ、うううう」
「リコさん?」

「うわああああああん。嬉しいよぉーーーー。私、嬉しいーよーーーー」
「第二ラウンド開始ですか。そうですか。ひとしきり絡んだ後は泣き上戸にシフトする。何だろう、この見事なまでの二段スライド方式。正に、酔っ払いの教科書にでも出てきそうな典型的な酔っ払い像っス」

「ごめんよぉおおおお、ゐ墨くーん。ゐ墨君を一人にして私だけ、酔っ払ってごめんよぉおおおおお」
「いえ、それを謝られても困ると言うか。元々僕、どんなに呑んでも酔わない体質ですし。それよりなにより… 僕が酔うのは、リコさんただ一人ですから」

「はぁ?」
「……… そこはさらっと聞き流してくださいよ。聞いてないと思って、思い切りナチュラルに恥ずかしいセリフ言っちゃったじゃないスか」

「ごめんよぉおおおお、ゐ墨くーーん。私の方が年上なのにぃいいいい」
「いや、二人の間に年齢はあまり関係ないというか、何というか」

「うぇええええん、嬉しいよぉおおお。あのネガティブなゐ墨くんが、自分から歩み寄ろうとしてくれてるぅうううう」
「リ、リコさん、一応深夜ですから。もう少し声抑えてくださいよっ」

「私ね、私、もっとゐ墨君の事知りたい。しりたいんだよぉおおおお」
「分かった。分かりましたから、お静かにお願いします。… そりゃ、僕たち付き合いは長いっスけど、趣味に関しては互いに不干渉だったというか、一歩下がってみてたところはありましたけど」

「私、見る。ゐ墨君と一緒にアニメ見るっ!」
「えっ、えええええ、本当っスか? 30分間もじぃーっとしているなんて無理だって、あれだけ言ってたのに?」

「ねっ、ねっ? だからさぁー、ゐ墨君も私の趣味に付き合っておくれぇーーー」
「勿論っス。アニメ見ながらで良いのなら、一緒に呑みましょうよリコさん」

「いやったぁああああああ、おやすみにゃさーーーい… zZZZ」
「…… やれやれ、ようやく最終段階。とうとう本当に寝ちゃいましたか」

「zzzzZZZ」
「ほら、こんなところで寝たら風邪引いちゃうっスよ? まったく、相変わらず大人なんだか子供なんだか」

「zzZZ」
「何だか今日は、いつもより絡み方が1.5倍増しくらいだったような気がする。あれかな? 昨日の、僕が日光苦手ってのを、全く知らなかったってのが堪えたのかな? それを言うなら僕だってリコさんの知らないところなんて、いっぱいあるのに。一緒に暮らし始めて結構経つけど、お互い生活スタイルが違うから無理もない筈なのに」

「zZ」
「…」

「…… zZZ」
「こんな僕に付き合ってくれて、救ってくれて。終わる事さえ望めない、こんな僕と一緒に歩いてくれるのは、歩ききれるのは、きっとこの先もリコさんだけだよ。リコさんマジ天使。ってか僕の天使…… なんて、本物の天使に言っても褒め言葉にはならないっスよね?」

「ばーか」
「!?」

お・し・ま・い

       

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