Neetel Inside ニートノベル
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永遠ノ魔術師-elona replay-
00.プロローグ

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 今はもう忘れ去られた昔
 イルヴァの地に十の文明の残骸が埋もれ
 レム・イドの傷跡が癒えぬまま迎えた十一紀、
 最も多くを破壊し生み出したと語られる時代
 シエラ・テールの物語。

 *

 ひと月の雨が降り終えた後、辺境の地カルーンの森が姿を変えた。
 奇妙な光の霧に覆われた森は急速に根を広げ、人の住めない生体を作り出した。

 東の大陸、ヴィンデールの森から始まったこの異変は、すぐにカルーンの民の生きる土地を奪い、多くの難民がノースティリスに流れ込んだ。

 西方国の皇子は、この現象をイム・イドの災厄であると説き、異形の森とその民の根絶を唱えた。

 ヴィンデールの民エレアは、やがて憎しみを避けるように人間の土地から離れていったが、対立の溝はうまらず、掃討戦は、今にも始まろうとしていた。

 *

 まもなく夜の明ける頃だった。
 ノースティリスに向かう商船クイーン・セドナの貨物にまぎれ込み眠っていたエーヴィヒは、突然、悲鳴のような轟音に起こされた。

「ん……なんだ?」

 嵐だろうか。やけに辺りが騒がしい。エーヴィヒは隣にいたイーリスに目をやった。信じられないが、こんな騒がしい中でも彼女は呑気にすやすやと眠っていた。

「おいおい……マジかよ。こいつはいったいどんだけ睡眠欲強いだ……」

 エーヴィヒはしばらくイーリスの横顔を見ながら呆れていたが、その間も状況は悪化するばかりだった。木材の裂ける音、船体をゆさぶる波の振動、帆を食い千切る風の唸り、まるで悪魔がもたらしたような突風の中で、年老いた水夫が神を呪って呟いた。

「エーテルの風だ」

 ……そして、船が二度目の悲鳴をあげた。
 波の重壁が何もかもを押しつぶし、人々が祈る間もなく、クイーン・セドナは夜の海にのまれていった。





       

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