誰の声も無の向こう
俺しか剣士はいなかった
「どるるるーん」
俺は目覚ましの音で起きた。今日も今日とて勇者として戦わなければ。
剣を持って靴を履いて表へ出る。衛兵にあいさつ
「こんにちは」
「こんにちは」
「大丈夫ですか」
「だめそうです」
「だめですかー」
「なんとかしてちょ」
「わかりました!」
俺の中の闇が迸り太陽を覆い隠した。とんでもない冷たい夜が訪れてみんなとても寒そうだった。
俺は洞穴に入った。そこなら暖かそうだと思ったからだ。そしてそのとおりだった
俺はモンスターを倒しながら洞窟にすんだ
そのうち洞窟の人が増えてきた
宿屋をやるやつとか神父様とかたくさんふえた
俺はそこでガードマンみたいな仕事をずっとしてた
とても楽しかった
聖水をまく人と仲良くなった
俺しか剣士はいなかった
ある日、洞窟の奥から変な声がした
俺たちはパーティを組んで洞窟の臆へいくことにした
暗かった
たいまつをつけた
みんなで身を寄り添いあうようにして洞窟の奥へとすすむ
「みんな元気出して」
「もう少しで最深部だ」
「がんばろう!」
俺たちはモンスターをおおよそ体当たりでぶっ飛ばしながら頑張った。
体当たりはいい 身体があたたたまる
暖かいのはとてもいいことだ
俺たちはくちょくちょと押し競まんじゅうしながら進んだ
誰かが持ってきたペーパーバックをみんなで回し読みした
誰かが眠っていれば誰かがおきていた
そのうち誰かが馬車を見つけて、魔法で動かした
俺たちは一日の半分以上を場所の中でトランプとかしながら過ごした
そのうちに妙な町に出て雑貨を買った
漫画雑誌とか小説を買い込んで、安くだけど、それをみんなで回し読みしながら冒険した
平和だった。
洞窟を抜けてしまったが誰も気にしなかった
俺たちは抜けるような青空の下で
穏やかに雑誌を読みながら
場所で草原をいく
とても気持ちのいい風のなか
笑い合って 慰めあって
生きてるって素晴らしかった
みんな仲良しだった 仲間はずれなんていなかった
仲間はずれはモンスターで、みんな気分がいらだつとモンスターを狩ってストレス発散した
そのためにこの世にはモンスターがいるのだ
モンスターがいない限りこの世からストレスはなくならないのだ
誰もが誰かを傷つけなければ呼吸もまともにできやしない
それがこの世の宿命
それが変わらぬ摂理
もうどうしようもないのだそのへん
絶対にそう
誰かを下に見ることでしか
自分の存在を確かにはできない
ああ 俺がもとめし平和はいずこ
これが俺の望んだ平和なの?
この馬車で 漫画を読んで 運ばれていく
目的地もないままに ただモンスターを狩っていれば
生きていく上での路銀にはまあ困らない
それでいいのかな それがいいのかな
誰か教えて
誰か教えて・・・
モンスターの悲鳴を聞きながら
今日も俺たちトランプやるの
「完」