ドミニウム~極色少女賭博伝~
乙女な立石ちゃん(一人称視点)。超短い。
(クソッ……クソッ……)
あの男――頭火とのゲームが終わった後、私は言いようのない敗北感に包まれていた。
ゲームには勝ったのに何故こんな思いを抱えなければならないのか、敗北感が更なる敗北感を呼ぶ。
まさかあんなにあっさりと負けを認めるとは思わなかった。必死になって私のイカサマを暴こうとする彼をせせら笑ってやるつもりだったのに。しかも謝ってきた上にお礼まで言われて握手なんてありえない。
まるで私の方が道化ではないか。
おまけに次のゲームが始まったらとっとといなくなってるし。別にいてほしいわけではないが。
(はぁ……)
心の中で一つ溜め息をついた。
こんな気持ちになるのはきっとあの男の悔しがる顔を見れなかったからに違いない。
もう一度頭火と対戦して完膚なきまでに叩き潰せば、きっとそれで私の気は晴れるのだ。
また会いたいな、と思った。
いや別に会いたいわけではない。ただもう一度勝負して、あの余裕ぶった顔が青くなるくらいまで追いつめてやりたいだけだ。
大体向こうだけが私の記憶能力を知っていたのはアンフェアだ。
だからもう一度会って……いやだから、別に会いたいわけじゃないけど。
本当に、別に会いたいわけじゃない。
fin.