勇者「君だけは僕が守る」 魔王「勇者…」
勇者は魔王を守る
勇者「おはよう、魔王」
魔王「なんで一緒に寝てる」
勇者「朝食を運んだら君がまだ寝てて、寝顔が可愛かったので眺めてたらついウトウトと」
魔王「メガンテ!」
†
魔王「今日は調子がいい」
勇者「さすがに傷の治りが早いんだな。人間だったら3回死んでもおつりがくるダメージだったのに」
魔王「まあ人間とはHPのケタが違うからな」
勇者「たしかに、最大HP6666もあるもんな」
魔王「だがまさか敵がグランドリオンを持ってるとは思わなんだ」
勇者「ああ、実在してたとは」
魔王「追加効果で魔力が消滅したときは終わりだと思ったよ」
勇者「(まあ僕が即効ぶち殺してやったけど)」
魔王「君には守られてばかりだ」
勇者「そんなことはない、いや、あるけど。僕が好きでやってることだ」
魔王「勇者…」
勇者「さ、一日のはじまりのキスを」ちゅ
魔王「ん…」
†
手下「失礼します!」
勇者「(ええい)」
魔王「何事だ」
手下「はっ、敵でございます」
魔王「連日の来客とは敵も飽きん奴じゃ」
勇者「魔王、ここは僕が行こう。君はまだ休んでいろ」
魔王「わかった」
勇者「敵は何人ほどだ」
手下「はっ、勇者様…それが、たったの二人でして…」
勇者「なめられたものだ」
†
勇者「懐かしい顔ぶれだな」
僧侶「勇者さま…信じたくなかったけど本当にあなたなのね」
戦士「勇者、俺は貴様をゆるさねえ」
勇者「前置きは省略してくれないか。今は少し機嫌が悪い」
僧侶「(この禍々しいオーラ…邪悪な迫力…これが本当に聖勇者さまなの…?)」
勇者「出でよ…魔剣」
戦士「格闘家を切ったのもその剣というわけか…外道め…」
勇者「ふん、勘違いするな。あの低俗は俺が手を下すまでもなく死んだわ」
僧侶「あなたという人は!」
戦士「どこまでも落ちやがって!」
僧侶「もう限界よ、行くわよ戦士、バイキルト!」
戦士「うおおおぉぉぉ!!!」
勇者「そいつ、格闘家と浮気してたぜ」
僧侶「!?」ビクッ
戦士「!?」
勇者「あーあ、言っちゃった」
戦士「な、なんのことだよ…そんなわけねーだろ」
僧侶「う、嘘よ…でまかせよ!ねえ戦士、信じちゃだめよ」
戦士「あ、ああ」
僧侶「私はあなた一筋だから、だから、ね?心配しないで、ね?」
勇者「なーんも知らないんだな、お前」
戦士「な、何が…だ…」
勇者「そいつ、妊娠してんだろ?」
僧侶「やめて!!!」
戦士「ば、ばかな・・・」
戦士「なあ、おい、嘘だろ…僧侶?お前はずっと遠征でレイドックにいて、帰省したのが1ヶ月前で…え?」
勇者「レイドックっつったら格闘家の実家だろうがよ」
戦士「・・・・・・え?」
僧侶「やめて・・・もうやめて・・・お願い」
戦士「・・・・・・・・」
僧侶「嘘よ…全部嘘よお」
戦士「なあ、嘘だろ?あんなに愛してたじゃないか…愛し合ってたじゃないか、なんであんなやつと?」
僧侶「私は何もしてない!私は何もしてない!」
勇者「ま~、うん。半分正しいよ」
戦士「お前は黙ってろ!」
勇者「迫ってきたのは格闘家の方だったもんね。あっさり受け入れちゃったのは、あれかな?戦士に飽きてたのか、不満が溜まってたのかな」
僧侶「やめてええぇえ」
勇者「随分と愚痴をこぼしてたみたいだね。え~と、何だっけ。『戦士ったら…MPを使う苦労を分かってくれないの』だっけ」
勇者「格闘家は優しかったね。不器用だけど人一倍人に優しかった。うんうん、すばらしい人間だ」
勇者「でも彼の手が肩にかかったとき、最期に身を委ねたのは…」
戦士「やめろ…やめてくれ…聞きたくない…」
僧侶「う・・・うぅ・・・ああああ」
勇者「ふん、こんな程度で戦闘不能か。興が冷めた」
勇者「撃てえ!!!」
手下「キキー!」
ズドドドドドーン
僧侶「ぐぺぺっ」
戦士「げぺっく」
GAME OVER
勇者「あははは!馬鹿め!浅ましい!」
勇者「格闘家がモシャスした俺の部下とも知らずに」
勇者「ふん、今日は笑う気にもなれない。早く魔王に会いに行こう」
勇者「者共!こいつらは寿司にして箱詰めして皇帝に送り届けろ!血肉は指先ひとつ残さずな!」
手下「キキッ!」
†
魔王「お帰り勇者、今日も無事でよかった」
勇者「・・・ただいま」
魔王「元気ないな、それもそうだろうな」
勇者「今日は流石に少し疲れたよ」
魔王「よしよし」
勇者「少し…寝たい。君と」
魔王「わかった、いいぞ、来い」
勇者「(あぁ魔王。魔王、魔王、魔王)」
魔王「安らかに眠れ」
勇者「手を…握ってくれ」
魔王「なんなりと、勇者様」