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勇者は魔王を守る

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勇者「おはよう、魔王」

魔王「なんで一緒に寝てる」

勇者「朝食を運んだら君がまだ寝てて、寝顔が可愛かったので眺めてたらついウトウトと」

魔王「メガンテ!」







魔王「今日は調子がいい」

勇者「さすがに傷の治りが早いんだな。人間だったら3回死んでもおつりがくるダメージだったのに」

魔王「まあ人間とはHPのケタが違うからな」

勇者「たしかに、最大HP6666もあるもんな」

魔王「だがまさか敵がグランドリオンを持ってるとは思わなんだ」

勇者「ああ、実在してたとは」

魔王「追加効果で魔力が消滅したときは終わりだと思ったよ」

勇者「(まあ僕が即効ぶち殺してやったけど)」

魔王「君には守られてばかりだ」

勇者「そんなことはない、いや、あるけど。僕が好きでやってることだ」

魔王「勇者…」

勇者「さ、一日のはじまりのキスを」ちゅ

魔王「ん…」







手下「失礼します!」

勇者「(ええい)」

魔王「何事だ」

手下「はっ、敵でございます」

魔王「連日の来客とは敵も飽きん奴じゃ」

勇者「魔王、ここは僕が行こう。君はまだ休んでいろ」

魔王「わかった」

勇者「敵は何人ほどだ」

手下「はっ、勇者様…それが、たったの二人でして…」

勇者「なめられたものだ」







勇者「懐かしい顔ぶれだな」

僧侶「勇者さま…信じたくなかったけど本当にあなたなのね」

戦士「勇者、俺は貴様をゆるさねえ」

勇者「前置きは省略してくれないか。今は少し機嫌が悪い」

僧侶「(この禍々しいオーラ…邪悪な迫力…これが本当に聖勇者さまなの…?)」

勇者「出でよ…魔剣」

戦士「格闘家を切ったのもその剣というわけか…外道め…」

勇者「ふん、勘違いするな。あの低俗は俺が手を下すまでもなく死んだわ」

僧侶「あなたという人は!」

戦士「どこまでも落ちやがって!」

僧侶「もう限界よ、行くわよ戦士、バイキルト!」

戦士「うおおおぉぉぉ!!!」

勇者「そいつ、格闘家と浮気してたぜ」

僧侶「!?」ビクッ

戦士「!?」

勇者「あーあ、言っちゃった」

戦士「な、なんのことだよ…そんなわけねーだろ」

僧侶「う、嘘よ…でまかせよ!ねえ戦士、信じちゃだめよ」

戦士「あ、ああ」

僧侶「私はあなた一筋だから、だから、ね?心配しないで、ね?」

勇者「なーんも知らないんだな、お前」

戦士「な、何が…だ…」

勇者「そいつ、妊娠してんだろ?」

僧侶「やめて!!!」

戦士「ば、ばかな・・・」

戦士「なあ、おい、嘘だろ…僧侶?お前はずっと遠征でレイドックにいて、帰省したのが1ヶ月前で…え?」

勇者「レイドックっつったら格闘家の実家だろうがよ」

戦士「・・・・・・え?」

僧侶「やめて・・・もうやめて・・・お願い」

戦士「・・・・・・・・」

僧侶「嘘よ…全部嘘よお」

戦士「なあ、嘘だろ?あんなに愛してたじゃないか…愛し合ってたじゃないか、なんであんなやつと?」

僧侶「私は何もしてない!私は何もしてない!」

勇者「ま~、うん。半分正しいよ」

戦士「お前は黙ってろ!」

勇者「迫ってきたのは格闘家の方だったもんね。あっさり受け入れちゃったのは、あれかな?戦士に飽きてたのか、不満が溜まってたのかな」

僧侶「やめてええぇえ」

勇者「随分と愚痴をこぼしてたみたいだね。え~と、何だっけ。『戦士ったら…MPを使う苦労を分かってくれないの』だっけ」

勇者「格闘家は優しかったね。不器用だけど人一倍人に優しかった。うんうん、すばらしい人間だ」

勇者「でも彼の手が肩にかかったとき、最期に身を委ねたのは…」

戦士「やめろ…やめてくれ…聞きたくない…」

僧侶「う・・・うぅ・・・ああああ」

勇者「ふん、こんな程度で戦闘不能か。興が冷めた」

勇者「撃てえ!!!」

手下「キキー!」

ズドドドドドーン

僧侶「ぐぺぺっ」

戦士「げぺっく」

GAME OVER


勇者「あははは!馬鹿め!浅ましい!」

勇者「格闘家がモシャスした俺の部下とも知らずに」

勇者「ふん、今日は笑う気にもなれない。早く魔王に会いに行こう」

勇者「者共!こいつらは寿司にして箱詰めして皇帝に送り届けろ!血肉は指先ひとつ残さずな!」

手下「キキッ!」







魔王「お帰り勇者、今日も無事でよかった」

勇者「・・・ただいま」

魔王「元気ないな、それもそうだろうな」

勇者「今日は流石に少し疲れたよ」

魔王「よしよし」

勇者「少し…寝たい。君と」

魔王「わかった、いいぞ、来い」

勇者「(あぁ魔王。魔王、魔王、魔王)」

魔王「安らかに眠れ」

勇者「手を…握ってくれ」

魔王「なんなりと、勇者様」


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