4月18日
可愛いらしい 女の子が捕虜として入ってきた。年は15くらいか?俺がもう少し若ければ変な気を起こしていただろう。将軍様によると、帝国の姫様だそうだ。こいつをうまくつかって有利に戦争を終わらせるらしい。うまくいくといいんだが……
4月21日
なかなか日記というのは続かないものだ。特に書くこともないせいだろう。日記の話題作りのために帝国の姫様とやらに話をかけてみたがかなり丁寧な言葉を使いやがる。うちのおてんば姫とは大違いだ。
家族のことを聞いたが、敵には教えられないと。そりゃそうだ。こいつは王族だ。
4月22日
つい最近まで「すぐに戦争が終わるぞ!」と鼻息荒かった将軍様の機嫌がすこぶる悪い。どうも交渉は難航しているようだ。一方の姫様はと言うと、牢屋のなかで何かに祈っていた。いくら話しかけても聞きやしねえ。飽きたので読書を初めようとしたときに「先程は申し訳ありませんでした」と謝ってきた。
どうやら兄の無事を祈っていたらしい。なんとも健気だ。
4月23日
姫様が連れていかれた。どうやら、帝国に無事を確認させるためだそうだ。それにしては遅い。普通だったらとっくに帰って来てるはずだが……
姫様が帰ってきたら続きでも書こう。
4月28日
忙しすぎて日記を書く余裕もなかった。急な話で、5月の初め頃に姫様を処刑することに決まったらしい。この間に帝国が降参すれば姫様は助かるらしいが……
一方の姫様はというと、相変わらず決まった時間にお祈りをしていやがる。
4月29日
なんとも嫌な話で、執行官は俺がやるらしい。覚悟はしていたがまさか俺とはな。
姫様はというと、今日も決まった時間にお祈りをしている
5月1日
日付が変わると同時に姫様の首を跳ねるらしい。せめて苦しまないように一発で仕留めてやるのが俺の仕事だ。次回の日記は戦争が終わったその日に書こう。
5月1日
皮肉なものだ。我らの勝利ではなく、帝国の勝利で、そしてこの日に戦争が終わるとは。戦況の悪化で俺も兵隊として駆り出されたわけだがよく生きていたと思う。
もしかしたら姫様にこの国は呪われたのかも知れないな。さて、これから帝国によって俺たちはひどい目に合わされるだろう。せめて殺されるまでは日記を続けるとしようかな。いい暇潰しになるだろう。