【雑誌名】コミックニート
【作品名】お兄ちゃんと呼ばないで
【作者名】tokai
【作品URL】http://hageronaga.x.fc2.com/index.html
【現代ファンタジー・駄目人間賛歌】
30歳ニート兄と12歳中学生妹のほのぼの日常漫画。
社畜だったのがニートになった兄・太一。
30歳にもなって魔法少女になりたいと言ったり、パチンコに明け暮れたり、遊戯王で中学生相手に大人げなく戦ったり、WEB漫画家のオフ会に出てバックレたりする。
そこに見られるのは徹底した「現実逃避」である。
大体、こんな可愛らしい妹の存在がファンタジーだ。
働かなくても親が稼いでいるからパチンコ資金にも困らないし、マクドで3000円以上使ったり、ピザも気軽に頼むし、車だって持っている。
何といううらやまけしからん生活だろう。
妹・ミキにしてもおかしな点が多い。
初期では兄に働けと言っていたりもするが、7話の性転換ネタの時によく表れているが、無理に働いて欲しくない様子でもある。また、13話の逆上がりの時も、ホテルの予約をスムーズにする太一に仕事の面影を感じ、暗い顔を見せていた。
はっきりとは描写されていないが、太一の過去(社畜時代)というのは相当にブラックだったのではないか?
だとすれば、妹からパチンコ資金をお小遣いとしてもらっている…過剰なまでの「甘やかし」状態が許されてるのも合点がいく。
ロリに母性を感じる「バブみ」という言葉があるが、ミキからはそういうものを感じる。
また、太一の母・鉄子(若い頃はミキにそっくり)や、幼馴染の宮っちからも大変な母性を感じさせるエピソードが多い。
本作は究極の現代ファンタジーであり、「甘やかし・駄目人間製造漫画」だと私は認識している。
太一だけでなく、品川・西山田・あずさ・ギド・ロリマンゴーといった脇を固めるキャラの駄目っぷりもネタとして最高のものばかり。特にロリマンゴーは面白かった。(ドリチンガー先生じゃなく私をモデルに弄ってほしかったぐらいだ。嫉妬する)
彼らのその駄目っぷりに大いに笑わせてくれるが、同時に愛おしくも感じる。
それは読者もまた、多少は身に覚えがあるからだろう。笑いつつも共感してしまう。
「俺たちはこの駄目っぷりでいいんだ」という駄目人間賛歌。
でも現実に叩き落とす展開も見てみたいので、最後は妹なんか実はいなかった。これは太一が路傍で野垂れ死にする寸前に見た甘い夢とかでも別にかまわないと思う。
というかそうじゃなきゃ許せるか…! こんな可愛い妹がいてたまるか…!
現実はもっと厳しいのだ。
よく低画力のクソ漫画を「新都社らしい新都社漫画」と称賛する傾向があるが、本作はこれだけの高画力ながら「新都社らしい」ニートのための漫画だと思う。
最新更新分では42歳の営業マンが仕事をさぼってパチンコをしていて、ギドをめぐってドラゴンボールバトルを太一とおっぱじめようとしているが…。
現実に真面目に働いているキャラというのは一向に描かれないような気がする。
この漫画は現実に目を背け続けてこそ、面白いのだから。
【高い画力・様々なパロディ】
最強伝説黒沢やカイジや美味しんぼなどが多いけど、他にも色々、パロディがある。
これがもう誰が見ても明らかなパロディでしかも再現度が高すぎて笑いを誘う。
特に凄かったのがあずさの黒沢パロ。
最後、あずさを放置して太一と品川だけが肩を組んで去っていくシーンとか笑い死ぬかと思った。
パロディするならこうあれというお手本のようでもある。
基本的に画力がとびぬけて高いからこそできるのだろうが、あらゆるシーンが丁寧に描かれている。
台詞がすべて手書き文字なのに綺麗なので気にならない。
一部、誤字はあるけど些細なことだろう。
絵に関しては物凄く好みの絵柄なので、もっと見せて欲しいところ。
可愛い女の子キャラにしてもミキ・貴音・マリ子・宮っち・ギドなど、多彩で隙が無い。
可愛い女の子キャラがいないと、品川や西山田ばかりでは食傷気味になるところだったし、ギドの投入は大正解だと思う。
イメチェンしたギドだけど何があったのかが気になる。接客業は無理な性格だったはずなのに…?
男を知ったんじゃないかという予想コメントがあるが、そうかもしれない。ゼミの先輩とやらが怪しいところだ。
ぜひ、童貞読者の阿鼻叫喚が見たいところである(笑)
続きも実に楽しみだ。
【余談だが】
名古屋ピカソ展オフレポでは、山中に埋めてくれてどうもありがとうございます。
オフ会にtokai先生が出没することがあるかどうか分かりませんが、もしどこかのオフ会に参加することがあったら誰か教えてください。
地の果てだろうが参加したいものです^^