Neetel Inside 文芸新都
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脛毛王女と巨乳爺や【完結】
踏まれた洸中花【20/3/13】

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急激に冷たくなる事を感じました
そうやって静かに死んでいくものです
意味も無く捨てられたあの子は
これからをどうしたって生きていくのです

ふとした時に涙が溢れ出し 
殺人衝動に駆られました
誰を傷つける訳にも行かないので
薬指の爪を剥ぎ取りました

サーカス団が街にやってきたら
その日は誰よりも幸せな気分になり
道化のピエロが死ぬ様相ばかり
安売り広告の裏にしたためました

不意にけつまづいた行き先ない道中では
下からばかりあなたを敬っています
心だけはようよう冷たい風に当たり
居た堪れなくてただ笑ってばかりです

ひとつだけ年上のあの方は
ゆめゆめ忘れぬようにと 
気でも違ってしまったかのように
私に刷り込み続けました

演奏楽団が街にやってきたら
その日は誰よりも悲しい気分になり
生ぬるいトロンボーンの音色にばかり
人生を重ね合わせて芳情しました

体を売ったお姉さんが
逝くだけならば易いものと
か細い手を白く汚しております

子どもなど産めやしない
理想的な体になったからと
恍惚の中でしずしず泣いております

踏まれた洸中花は
もう二度と咲く事無いままに静かに枯れ
夜露にそぼって土に返ります


サーカス団が街にやってきたら
その日は誰よりも幸せな気分になり
道化のピエロが死ぬ様相ばかり
安売り広告の裏にしたためました

あの美しい花を眺めながら
汚れそぼった私自身とくらぶれば
誰もが見て分かるほどに喜ばしく
天高く聞こえるほどに大きな声です

厭人狂者と忌み嫌われ
自慰にふけるだけの時間の中

踏まれた洸中花のお話です
どう笑ってやってくださいませ

       

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