Neetel Inside 文芸新都
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まほうつかい おんな レベル1
○月×日 要キアリー

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 ぐー。
 お腹が鳴りました。これは生理学上仕方のないことで、生きとし生けるものに等しく与えられた宿命と言えます。この宿命を受け入れない、すなわちここで食物を摂取しない愚行を犯すなら待ち受けるのは唯一餓死であり、生を得るため、果ては人間族という種の存続のために、私はお腹を満たさなくてはならないのです。ぐー。……早急に。
 と言うわけで、ルイーダの酒場へと向かっております。お腹空いたー。おばさんもうレーベから戻って来てるかな。もし帰ってなかったら、自炊しなければいけません。うーん、あんまりお料理得意じゃないんですよね……。自分で言うのもなんですけれど、時々、ちょっと危険な香りを醸す一皿が出来上がってしまうと言いましょうか。前に失敗作を食べさせた人は、なんと教会に毒の治療に行ってしまったといういわくつきの……。あ、明かりついてる。助かった。
 それでは速やかにご飯を用意してもらいましょう。

「おかえりなさーい。晩ご飯作って」
「あら、ただいま」
「ごーはーんー」
「さっき帰ったばかりだから今日は何も出来てないわ。あなた一人暮らしなんだから、家事炊事くらいきちんとしなきゃダメよ」
「だって自分で作るよりおばさんが作ったものの方がずっと美味しいんだもん」

 ……食費も浮くし。
 時代はエコです、エコ。地球に優しく。私にもっと優しく。

「ね。おねがーい。今日まだ何も食べてないよ」
「まったくもう……。支度するからちょっと待ってなさい」
「さっすがー。今度お礼に私が作ってくるね」

 ピタッ。
 と、そこでおばさんの動きが止まりました。固まった、と言ったほうが正確かもしれません。まるで動かないうごくせきぞうのようです。はて、私いつの間にストップの魔法なんてラーニングしたのかしら?

「き、気持ちだけで十分よ。それだけは許してちょうだい……」

 ぎこちなく動き出すうごくせきぞう。その顔は笑っているようでわずかに引きつっていました。こんなにも動揺するおばさんはそうそう見られません。レアです。レアキャラ出ました。

「そんなに不味かった? 前に食べさせたの」
「そうね……。お料理より、毒の沼地に近かったわ」

 ひっどー。
 今度カレーにバブルスライム入れて持ってきてやる。グリーンカレーっぽく。

       

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