Neetel Inside 文芸新都
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過去の東京
戦の始まり-1

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両軍、矢合わせが始まる。
ヒュンヒュン矢が飛び交う。
ある程度たったら槍部隊が出てきて―――
「出てきた。出てきた。」
怒号と唸り、屈強な男たちが戦場で槍をブンブン振り回し、哮る。
ウオリャー!というポピュラーなものからゴゲブスルァアアア!!等という本能の声に近いものもいる。
「おーあの男一番槍じゃねーか。すげー目立つ兜してんなー」
その男の兜。
金色に光り輝き、一本の角らしきものが見える。
「なんだあの兜・・・。ありゃ足軽じゃないな。名のある武将だわ。」
10分ほどして、馬が走るたび粉塵が巻き上げられる。
「よーしそろそろだろう。」
そのころ、戦の主戦場は変わっていて、草むらから少し遠くのほうに移っていた。
ボクは草むらから躍り出て、自分と同じぐらいの身長の人間――否、死体を捜していた。
余談だが、ボクの身長は、160cmほどであるから当時の人間と身長はそう変わらない。
なので二人目の死体から衣服をもらうことが出来た。
貰う・・・おかしな表現だ。奪ったという表現の方が正しいかもしれない。
しかし、その死体の上着の着物は、腹の部分が血まみれだった。
それもそのはず、その男は、どてっ腹に槍で穴を作られたのだから。
上着は、4人目・・・もう死体なので4つ目といってもいい。その時はそう思った。
4つ目の死体は、額に矢が刺さっていて、上着には血がついていなかった。
こうしてボクは、死体から衣服を奪い取った。
そして、その辺に刺さっていた槍を引っこ抜き、胴を装着した。
「胴は持ってるだけじゃ意味ないぜ!ちゃんと装備しないとな」
守備力うp!
と言ったって、その守備力は微々たる数値で、胴以外の場所は布の服である。
「まぁ・・・死ぬときは死ぬからこんなもんでいいや。」
とても現代に生きる若者とは思えない言葉だ。
自分自身でも何故こんな言葉が出るか不思議だった。


高校生活中は平凡―――
その言葉が誰よりも似合っていた。
勉強はクラス40人中19位
体育のソフトボールでは3打数1安打
唯一のとりえであろう剣道も、部員10人中トップ3の中に入ってるいるだけでトップ3のなかでどっこいどっこいの腕前だ。
ほとんどの人間には本当の自分は出していなかった。
クラスメイトの約半数は僕のことを何もしらなかっだろう。
ただ学校に来て、弁当を食べて、部活に出て帰る。そんな風に思ってただろう。
あながち間違ってない。
ただ一つのことを抜けば平凡そのものだった。
ただ一つの事とは、戦国時代の知識だった。
信長の野望にはまって以来、戦国時代と名のつく書籍、映画、ゲームはやりまくった、見まくった。
信長の野望、太閤立志伝、etc・・・
現実を重んじる僕にとって、戦国BASARAや戦国無双は見たくもなかった。
仲のいい友達がBASARAの話をしてきたことがあった。
『お前って戦国時代詳しかったよな?』と友が言う。
「まぁ、ちょっとぐらいなら。」と僕。
『長宗我部元親ってしってる?結構マイナーだと思うんだけどさー』
「(゚д゚ )・・・・( ゚д゚ )」
『あ、やっぱり知らなかったか?』
「いやいや大丈夫。知ってる知ってる。  多分お前よりもボソッ」
『ほんとかよー、じゃあ何したやつか言ってみろよ。』
こ・・・こいつは・・・俺をなめきってやがる・・・
どうせ、ゲーム画面の紹介文ぐらいしか読んでねぇくせにこの俺に聞くのか?
半ギレで友達に語る(半分説教みたいな感じ)
「長宗我部元親だろ?小さい頃は、色白で柔和な性格から【姫若子】と呼ばれてて、父親もあんまり元親に期待してなかったんだけどな、
初陣は確か22歳で初陣って言う当時ではかなり遅いんだよね。しかもこの戦のときは元親自身槍の使い方知らない始末でさ、
近くにいた家臣に聞いたんだよな。ところが戦になると、自らの槍で二人も突き殺したんだよな。
しかもその後城攻撃でも戦果を上げて人々は【姫若子】から一転【土佐の出来人】と褒め称えたんだっけ?(ワンブレス)」
とわざとらしく友に聞く。
『( ゚д゚ )・・・・・。あ、ああ。そうそうそんな感じ』
「たださーちょっと四国統一した時って何年か忘れちゃったんだけどわかる?」
『オレガワルカッタ。カルピスオゴルカラユルシテ。』
「わかったら、二度と俺の前で戦国BASARAの話はするなよ。」
『ワカッタ。モウイワナイヨ。』


今思えば、高校生活の中で本当の俺が出たのはあの時ぐらいだった。



       

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