Neetel Inside 文芸新都
表紙

唯、霧中の宝石を掴みたいと思った
キレイな物が欲しいと思ったんだ

見開き   最大化      

囚人は私に問いかけた。
「何が必要なのだろうか?」
私は囚人に答える。
「キレイな物が要ると思うよ」
囚人は考える。
「つまりは、宝石や、金か」
私は答える。
「たぶん違うと思うよ」
囚人は問う。
「ならば何だというのだろうか?」
私は答える。
「さぁ? 心からキレイだと思える物じゃないかな?」
囚人は問う。
「それは一体なんだろうか?」
私は答える。
「私も解からないけど、キレイな物が欲しいと思う」
囚人は問う。
「キレイな物があれば、我が罪は赦されるのだろうか?」
私は答える。
「さぁ、わからないよ。だって、生きる事も、死ぬ事も罪なんだもの」
囚人は問う。
「ならば何時、我は休めるのだろうか?」
私は答える。
「休む事は罪だと思う。罪は赦されない。決して」
囚人は問う。
「ならば、我が背に在る十字架は、我が罪の証は消える事はないのだろうか?」
私は答える。
「消える事はないし、消しちゃいけないし、捨てちゃいけないと思う」
囚人は問う。
「我は疲れた。何時になれば休めるのだろうか?」
私は答える。
「全てを捨てれば休めると思うよ」
囚人は問う。
「捨てたくない、今までを全て捨てるのは我自身の否定だ」
私は答える。
「じゃぁ、キレイな物を探して、それに憧れて歩いていこう」
囚人は問う。
「それは、安息になるのだろうか?」
私は答える。
「それは幸福だと思うよ」
囚人は問う。
「では、キレイな物を探そう」
私は答える。
「頑張って。私は、私の。貴方は、貴方の。それぞれの憧れるキレイな物を探そう」
囚人は問う。
「汚れた我が憧れても、良いのだろうか?」
私は答える。
「汚れているから、憧れるんだよ」
続けて答える。
「私も、誰も。汚れていない人なんて居ないんだから」

     

面白さ。
単純なようで奥が深い事だと思う。
多分、細かく分ければ無限にあるだろう。
だけど、法則ならきっとある。
人はそこに、憧れを抱くのだと思う。
物語にはテーマがある。
そのテーマが、素晴らしく美しいと思えなかったら、一時の面白みで終わってしまう。
たとえば、誰かを信じるという事。
たとえば、誰かを愛するという事。
たとえば、誰かと共に歩んでいく事。
そんな、テーマが、面白さを作ってくれるんだと思う。

       

表紙

Pudding 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

Tweet

Neetsha