Neetel Inside 文芸新都
表紙

唯、霧中の宝石を掴みたいと思った
例え

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例え、体に足がなかろうと、彼女は歩いていた。
のそのそ、ゆっくり歩いていた。
「何故、足がないのに歩くの?」
「行きたい場所があるから」
その彼女の隣を僕は歩く。
彼女に合わせてゆっくりと。
「どこに行きたいの?」
「私の目的地、私の願いの場所」
彼女はゆっくり歩いている。
その進みは遅いけれど、力強く、逆風が吹こうと歩いている。
そんな彼女が聞いてきた。
「何故私の隣で歩いているの?」
「キレイな物を見つけたから」
そんな彼女を僕はキレイだと思った。

       

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