Neetel Inside 文芸新都
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ある日の日
再会と出会い

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夏休みが明けて二週間が過ぎた。

休みが過ぎてからすぐに秋奈は、引っ越してしまった。
それから、母の仕事先が海外になり美夏は、母に付いて行くことになった。
つまり、俺はこれから先一人で暮らすことになった。
「はぁ~ユミがいたらなぁ~」
教室の窓を開けて空を見上げる。
「なんか、俺の周りから親しい人がいなくなってる気がするような」
そんな事を呟いていると。
「おい、長月」
「なんだ?」
史樹の後ろからクラスメイトの男子が史樹に近寄って来た。声に反応して後ろを向く史樹。
「今日俺らのクラスに転校生が来るらしいぞ!」
「うそ!」

しばらくすると、担任が教室に入って来た。慌てて席に着く生徒たち。
「え~転校生を紹介する」
いきなりの展開にざわめき始めるクラスメイト。
「入って来て~」
 ガラ、ガラ、ガラ
扉が開くと、さっきまでざわめいていた連中が静かになり、静まり返るクラスの中、史樹だけが呆然としていた。
入って来たのは、髪は長く黒い髪、体は細く、大人しそうな女の子だった。
黒板の前まで来て、クラスのみんなのいる方へ体を向ける。
史樹は、その子の顔を見て驚いた。
なぜなら、その子の顔はどこからどう見てもユミなのだから。
「今日からこのクラスの一員になった・・・」
担任は、黒板の方へ向きチョークを走らせ、手に付いた粉を払って向き直り。
「猫柳 ユミさんだ」
拍手が巻き起こる中、史樹は混乱していた。
「待て、落ち着け、落ち着け、俺。ユミはすでにいないはず、ただ顔が似ていて偶然名前が同じだけだ」
史樹は、自分に言い聞かせる。
「え~と、それじゃ猫柳の席は~」
担任は、クラスを見渡していると。
 タッタッタッタッタッ
猫柳が無言のまま、一番後ろの窓際の端の席に座る、史樹の前で立ち止まり史樹に軽くお辞儀をした後、史樹の隣に座っている男子に。
「出来るなら史樹様の隣がいい、すまないが席を譲ってくれないか?」
史樹は、この子がユミだと心の中で断言した。
「はい。どうぞどうぞ」
男子は、席を躊躇なく譲った。

放課後。ホームルームが終わった後、席を立つ史樹。
「帰りますか?史樹様」
隣に座っているユミだと思われる子が席を立った史樹の顔を見つめる。
「あのさっ!君は、ユミなの俺が知っているあのユミなの!」
「そうですけど」
それ以上何も言えなかった史樹だった。

家に着いてソファーに腰掛ける史樹。その隣にちょこんと座るユミ。
「あのさぁユミ」
ユミの方に体を向ける史樹。史樹の方に体を向けて顔を見るユミ。
「ユミ・・・お前死んだんじゃなかったの?」
「確かに私は、死にました。ところが夕薙が私に命をくれたんです」
「なるほど、夕薙がな~」
すべてを納得したように頭を縦に一回振るう史樹。
「史樹様。春美様の家は、どうなっちゃたんですか?」
「それが、ユミがいなくなった数日後に放火にあって・・・」
春美の家は、ユミがいなくなった後に何者かに放火されなくなってしまったのだ。
「そうなんですか・・・」
下を向くユミ。史樹は、ユミの肩に手を置き。
「そんなに落ち込むなよ、ユミが帰って来たんだから」
史樹は、ユミの体を自分に寄せて優しく抱きしめる。
「ユミがいない間、俺一人で寂しかったんだぞ」
「史樹様・・・」
史樹は、ユミの体から離れて顔を見る。
「言っておくことがある、母さんと美夏は、海外で暮らすことになったから」
「そうなんですか・・・じゃこれから二人っきりですね」
笑顔になるユミ。そんなユミの顔を見ていた史樹も自然と顔から笑顔になった。

     


次の日から史樹とユミは、仲良く学校に登校する。
家の表札には、『長月』の名前の隣に『猫柳』の名前が付けられた。
「あのさぁ~ユミ。なんで、苗字を長月にしなかったんだ?」
「それは・・・長月にするということは、史樹様の妹になりますよね」
「そうだが」
「妹は、嫌なんですよ」
下を向くユミ。
「妹になったら史樹様の恋人になれないじゃないですか・・・」
「え?なんか言った?」
「いえ、いえ何も」
ユミが何か言ったようだったが、史樹には聞こえず首を傾げる史樹だった。

その日の放課後。ユミは、買い物に行くと言い出し史樹は、一人で家に帰る途中の事だった。
「怪我してるな・・・」
史樹が見つけたのは、電柱の隣に左前足から出血している一歳ぐらいの、灰色でところどころ銀色っぽい毛が混じってる犬だった。
「手当てしないと」
史樹は、その犬を両手で抱きあげる。最初は、落ち着きがなかったが家に着くころには落ち着いていた。

家に着いた史樹は、犬が怪我をしているところを水で洗い、ガーゼを貼ってその上に優しく包帯を下から上へと巻いていく。
「よし!こんなもんだろ」
包帯を巻き終わりソファーに座ると。
「クン~」
犬が史樹の足にすり寄って来た。
「なんだ?」
史樹は、犬を抱き上げる。
「寂しかったかのか?」
頭を優しく撫でる。
「ワン!」
史樹の問いかけに応えるように犬が吠えた。
「俺の部屋に行かないと、いつユミが帰って来るか分からないからな」
史樹は、犬を抱き上げながら自分の部屋に向かった。

その夜。史樹がベットで寝ていると、何かがベットの中で動いてるのを感じて起きた史樹。
「俺の足あたりに何かが上にあがって来るような」
史樹は、恐る恐る布団を上げると。
「なんだ、お前か」
上げてみると治療した犬だった。
「一緒に寝たいのか?」
「クゥ~ン」
「しょうがないな~」
史記は、犬を自分の右隣りに横にして布団をかける。
「おやすみ」
史樹は、犬に呟いた。

翌日。今日は、日曜日。いつまで経っても起きてこない史樹を起こしにユミは、階段を上がり史樹の部屋に入った。
「史樹様そろそろ起きたほうがいいですよ」
史樹の部屋に入り声をかけるユミ。しかし、深い眠りに落ちている史樹は、起きない。
「史樹様起きてください!」
ユミは、思いっきり布団を放り投げた。
「・・・」
ユミの目が点になった。
「なんだよユミ、もうすこし・・・寝かして・・・くれ」
史樹は、目を開けてユミに言ったが徐々に言葉が途切れ途切れになっていった。
「・・・誰!!!」
史樹は、ベットから飛び起きユミの隣に立つ。
「史樹様!誰なんですか?」
少し怒り気味にユミが史樹に問い詰める。
「俺だって誰だか知らないよ」
二人は、ベットを見る。そこには、裸姿で寝ている女の子だった。
「う~ん」
目を擦りながらその女の子は起きて、史樹が脱ぎ捨ててあったワイシャツを着た後にその子は、史樹の顔を見ると笑顔になる。次の瞬間。
「「えっ!」」
二人の声が重なった。その子が笑顔になった瞬間、頭からネコミミらしい耳が生え、尻尾が生えたのである。
「君は・・・」
史樹は、尋ねた。
「何を言ってる?昨日お主に助けられた犬じゃ」
驚く史樹。犬と聞いてネコミミを出して臨戦態勢をとるユミ。
「どうやら、その女は猫だな」
ベットから立ち上がり史樹の前に立つ。
「史樹様に近寄るな!」
今にも襲いかかりそうな恐ろしい顔をするユミ。
「まて、ユミ」
史樹は、ユミの顔を見て声をかけたあと、視線を前に戻す。
「まだお主の名前を聞いていない教えてくりゃれ?」
「俺は、史樹。長月史樹」
「史樹か言い名だ。すまぬが私に名前下され、私は名前がないんじゃ」
「えっ、そうなんだ・・・それじゃ・・・笑顔が可愛いから名前は、エミ!」
史樹は、人差し指を立てて言った。
「エミですか・・・ありがと!」
エミは、思いっきり抱きついた。
「は・な・れ・ろ」
ユミの顔がどんどん恐ろしくなる。エミは、ユミの方に顔を向けて。
「やだもん!だってエミ、史樹が好きなんだもん」
史樹の顔を向き直しエミは、史樹の唇に自分の唇を重ねそのまま、押し倒した。

       

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