Neetel Inside 文芸新都
表紙

ある日の日
惨劇

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昼。誰もいない屋上で横になりゆっくり流れる雲を見ている史樹がいた。
――俺は、ユミが好きなのかな?それともエミなのか
夜の事をまだ考えていた。
というか、いざ考えてみるとあんな可愛い二人が一つ屋根の下一緒に暮らしている。
だから、自分の気持ちは、絶対どちらか好きに決っているはずなのにそれが分からない。
――俺は・・・
考え事をしていると屋上のドアが開いた。
開いたことに気づき起きる。
「史樹様こんなところにいたのですか」
来たのは、すこし息を切らせながら手に弁当を持っていたユミだった。
少しづつ近寄って来る。
ユミの顔を見た史樹は。
――よく見るとユミってかなり可愛いよな
史樹の隣に座る。
「史樹様お昼は食べましたか?」
覗き込むように聞いてきた。
瞬間顔が赤くなる史樹。
「え!・・・あ~まだ!」
「そうですか。なら」
すると、膝の上に乗せていた弁当箱を開けて。
「一緒に食べますか?」

史樹は、ユミが持ってきた弁当を一緒に食べた。
そのあと、再び横になりながら空を見る。
――何故だろ、隣にユミがいるとドキドキする。
隣にいるユミには、聞きたいことがあった。それは朝から史樹が何を考えているのか。
出来れば何を考えてるのか自分に言ってほしいからだ。
「あの~史樹様」
気になったユミが聞いてみる。
「朝から何か考え事してますよね?」
「・・・」
何も返事が返ってこない。
「よろしければ私に教えてくれますか?」
「・・・今」
返事が返ってきた。耳を傾けるユミ。
「今、俺が考えているのは・・・」
その先を言いかけた時。
昼の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「教室に戻ろ」
「はい・・・」

午後の授業もずっと外を見続けていた。
――さっきユミと一緒にいた時ずっとドキドキしていたけどこの気持ちは
その隣で。
――史樹様は、いったい何を言いかけたのでしょう

放課後。
下駄箱で靴を履き替える史樹。ユミが史樹の傍に行こうとした時。
「お~い史樹!」
ユミの後ろから誰かが来てユミの横を横切った。
「一緒に帰ろうぜ」
「別にいいけど」
それは、直輝だった。
史樹と直輝が一緒に帰っている二人の後ろを、一人でユミが距離を置いて歩く。
「史樹、何か考え事してね~」
「え!?分かるの?」
「普通に分かる。で、何考えてるの?」
少し離れているユミは、二人の会話が聞こえる。なぜなら耳がよすぎるからだ。
「実は・・・二人、女の子のこと好きみたい」
それを聞いたユミは、顔を赤くして驚いた。
――史樹様!好きな子って私の事かしら
史樹の隣にいた直輝は。
「おまっ二人もかよ!てか、好きみたいってなんだよ!」
「自分にもよく分からないんだ、それで・・・」
「なるほど、まぁゆっくり考える事だな」
「そうする」

そのあと、直輝と別れた史樹は、一人で家に向かっていた。
ユミは、史樹に気付かれないように距離を置いたまま後ろを歩く。
――史樹様が先ほど好きな子は二人いると言っていた。おそらくそのもう一人と言うのは、間違いなくエミ。
ユミは、史樹がさっき言っていたことを冷静に分析していた。
――エミなんかいなければ、史樹様は私だけを見てくれるはず。
立ち止まるユミ。そして、不気味に笑う。
「そうよ。エミなんかいなくなれば。エミなんかいなくなっちゃえばいいのよ」
ユミの瞳には、光がなくなり。ただ、邪悪で恐ろしい瞳になっていった。
「待っていてくださいね史樹様。今から邪魔者を排除してきますからね・・・」

家に着いた史樹。
その時。二階の窓が突然割れた。
「なっなんだ」
すると、割れた窓からエミが飛び出してきた。
「史樹!逃げて!」
「エミどうしたんだ!」
史樹の前に着地したエミは、膝を付いて左肩から血を流して怪我をしていた。
「いいからここから離れて!」
険しそうで苦しそうにエミが史樹を逃がそうとしている時玄関が開いた。
出てきたのは、右手に出刃包丁を持ち前髪の隙間から、赤く染まった二つの丸い目をしたユミだった。
「お帰りなさい史樹様・・・すいません。史樹様来るまでにそいつを排除したかったのですが、なかなか捕まえる事が出来なくって」
そう言って不気味に笑いだすユミ。
「逃げて史樹!今のユミには、何言っても聞かない!」
立ち上がるが怪我をしているためフラフラしている。
「大丈夫かエミ!」
エミの体を支える史樹。ゆっくり距離をつめて来るユミ。
「そのまま、そいつをこちらに」
左手を史樹の方へ出す。
「やめるんだ!ユミ!」
エミの前に両手を広げる。
「そこをどいてください!」
左手に持っている出刃包丁を、上に上げてそのまま振り落とす。
とっさに腕をクロスにする史樹。
「史樹!」
エミの叫びと同時に史樹とユミの間に風が吹いた。
「見守っといてよかった」
史樹の目の前に出刃包丁を両手で掴んでいるルカがいた。

     


必死で耐えるルカ。が、徐々にに後ろに押され始める。
「ここは、私に任せて早く史樹君を連れて逃げて!」
それを聞いたエミは、イヌミミと尻尾を出して痛みを堪えながら史樹を担いだ。
「史樹!ちょっと乱暴だけど我慢して!」
「エミ!待ってくれ!」
エミは、膝を曲げる。
「史樹君をお願いね」
「アンタ、無茶しない程度にね」
一気に高く飛び跳ね屋根の上に着地し、屋根から屋根と音速のスピードで移動する。
エミが移動したことを確認したルカは、ユミの腹に強烈な蹴りをくらわせる。
蹴りの衝撃でルカから離れた。ユミは、ルカの蹴りが全く効いていないのか平然としている。
ゆっくりルカの顔を赤い瞳が捉える。
「あなたは、私の邪魔をするのですか?」
「あなたを先に行かせません」
ルカは、左手を後ろに右手をユミに向けて構える。
――史樹君には近づけさせないここで食い止めてみせる
「私は、猫柳ユミ。史樹様がご主人」
右手の出刃包丁を低く構える。いつ攻撃を仕掛けるかルカの出方を見ている。
「私は、狐神ルカ。史樹君を守護するものです」
刹那、一気にユミの目の前まで距離をつめたルカは、思いっきり右ストレートを放ったが。
「残念ですがあなたでは私を倒せません」
ルカの右ストレートは、ユミの左手の人差し指で止められていた。
「さようなら」
不敵に笑ったユミ。ユミの後ろに邪悪な紫色のオーラを、身にまとった死神が錯覚で見えたルカ。
――私には何もできないのですか

一方史樹を担いで移動していたエミは、2キロ離れた誰もいない公園に着いていた。
公園に着いたと同時に倒れたエミをベンチに横にした史樹。
横にしたエミの隣に史樹が座る。
「大丈夫か?エミ」
「少し休めば大丈夫」
エミは、そう言っているが走ってしまったために、肩からの出血がひどくなってしまった。
「ちょっと待ってろ」
史樹は、征服からハンカチを取り出しエミを起こして、出血しているところにハンカチを押し当てる。
「ありがとう。史樹」
顔が赤くなるエミ。押し当てている史樹の手に自分の手を重ねる。
「べ、別に・・・」
エミの手の温度が伝わって来て不意に上を見上げた。
しばし、会話が止まった。いつの間にか日が落ちて夜になっていた。
夜空には、幾千の星たちが輝いている。周りには、誰もいない静まり返っている。
「どうして・・・こんなことに」
夜空を見上げながら呟いた。エミが静かに応えた。
「私・・・邪魔なのかな・・・」
「え?」
「だってあんなに殺意むき出しで私を襲って来たんだよ。私なんかユミにとって邪魔な存在なんだよ」
「・・・」
「私は、犬。ユミが、猫。所詮、犬と猫が仲良くできるわけなかったんだよ
下を向いたまま悲しそうにエミが言った。
それを聞いた史樹は、回り込んでエミの頬に手を当てて顔を見ると。
エミの瞳から今にもこぼれそうな大粒の涙があった。
「邪魔なはずあるわけないだろ」
そして、優しく抱きしめる。すると、エミの瞳から雫がこぼれた。
史樹の背中に腕を回し強く、強く抱きしめるエミ。
「絶対何か理由があるはずだ、だからそれをユミから聞き出す」
涙をこぼしながら。
「ユミは、絶対貴方を狙ってくるはず、だからその時は、命をかけて貴方を守る」
「出来ればエミとユミを争うところなんて見たくない」
「それは、私も同じユミと争うなんて最初から」
夜の公園で二人は、願った。三人で明日を、そしてさらに明日を過ごせるように。
史樹は、自分の中で考えていた。
――とにかくユミと話をしないと、もうこれ以上エミを傷つけさせないために
「やっと見つけましたよ」

聞き覚えのある声がした。二人は、声がした方へ顔を向けるとユミが立っていた。
「ルカさん!」
史樹は、立ち上がって叫んだ。ルカがボロボロな体になって、ユミに髪を引っ張られていた。
自分のせいでルカがボロボロな姿になってしまって史樹は、歯をくいしばった。
「ユミ!ルカさんを離してくれ」
すると、素直にルカの髪を掴んでいた手を離した。
地面に横たわるルカ。
「どうしてこんな事をするんだ」
拳に力を入れて言い放った。





     


「だから、さっき言ったじゃないですか、エミが邪魔なんですよ」
赤い目を光らせながら、言った。
座っていたエミが肩を押さえながら史樹の後ろに立った。
「エミがいなくなれば史樹様は、私をずっと見てくれる」
「俺は、こんな事をするユミなんか・・・」
すると、史樹の首に何かが強く当たった。
その直後、史樹の視界がぼやけ始めた。意識が薄れて行く中、史樹は、後ろにいるエミを見た。
「ごめんね。史樹」
「・・・エミ・・・お前」
史樹の目が閉じ地面に倒れた。
「エミ!史樹様に何をした」
「アンタと話をしても意味ないと思ったから気絶してもらっただけ」
ユミにそう言うと倒れた史樹をベンチに寝かす。
ユミの方を見てイヌミミと尻尾を出して臨戦態勢に入る。
「史樹は、今のアンタなんかに渡すもんか」
銀色と金色の目を輝かせながら言い放つ。
ユミも同じようにネコミミ、尻尾を出し出刃包丁を構える。
「エミを排除してこれからは、史樹様と二人で暮らせる」
真っ赤に染まりに染まった目を光らせながら出刃包丁に力が入る。

全く動かない二人。いつ動くかユミを見るエミ。余裕の表情をしているユミ。
刹那。
光速の速さでユミの目の前にエミが接近し、高く飛びそのままユミの頭に殴りかかる。
「くらえぇぇぇぇぇぇ」
エミの拳が頭に当たる寸前にユミの姿消える。
エミの拳は、そのまま地面に直撃し地面がへこみ亀裂が入り土煙が上がる。
「どこに行った!」
目を細め周囲を見る。
「右、左、前、後ろ、下・・・」
順番に見て行き最後に。
「上・・・」
見上げると土煙が上がっている中、かすかに赤く光っている物が二つ見えた。
「来る」
エミは、迫って来る赤い光を確認し構える。
すると、突然赤い光が消えた。
「なっまた消えた!どこだ!」
徐々に土煙が消えていく。
「こっちだよ」
エミのすぐ後ろでユミの声がした。振り向かず瞬時にしゃがみそのまま、体を後ろに捻りながら左に拳を放つ。
「しまった」
エミの拳は、ユミの左手でがっちり掴まれユミの右手が大きく振り上がる。
「左手も~らった」
不気味に笑いながら右手を振り落とす。
「マズイっ」
エミは、しゃがんだまま右足をユミの両足に回し蹴りをした。
回し蹴りでユミのバランスが崩れ掴んでいた左手が外れ倒れた。
「今度こそ」
倒れたユミの顔に右ストレートをしかけた。
が、当たる直前にかわし立ち上がるユミ。
「また、残念」
ユミが振り返るがそこにエミは、いなかった。
――どうせ後ろなんでしょ
ユミの後ろでは、右の拳を放とうとしているエミがいた。
「さようなら、エミ」
出刃包丁を平行にしそのまま後ろに回す。
「何!?」
ユミの攻撃は、エミに当たっていたがエミの姿がユラユラと消えていく。
「幻影!」
「こっちが本物だ!」
エミの右手の爪が長く細くなってユミの首を、切り落とすかのように左からスライドしながら迫る。
「このっ」
エミからの攻撃を出刃包丁でガードする。
「残念、幻影を使ったの驚いたけど遅かったね」
「それは、どうかな?」
「何!?」
ガードしていた出刃包丁にひびが入り始めた。
――マズイ
そう思った直後、出刃包丁が砕けエミの鋭い爪がそのままユミの首に迫る。
砕けた出刃包丁を手放し、しゃがむその時、ユミの長く自慢の黒髪が月の明かりでキラキラさせながら肩から下がバッサリ切れた。

前に転がり態勢を整えエミを見る。
「よくも私の髪を切ってくれたな!」
ユミの体の周りから赤いオーラがメラメラ出始め短くなった髪が逆立ち怒りが増し始めた。
「エミなんかエミなんか死んじゃえ」
エミに向かって走り出す。構えるエミ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
エミの目の前まで来てとてつもない速さで、拳をエミに向かって攻撃し続ける。
目を閉じ腕をクロスしてガードするしか出来ないエミ。
――このままじゃ・・・
当然、ユミが消えれる。消えたことに気付いてないエミ。
「くらえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
エミのわき腹に向けて回し蹴りをする。
「ぐわぁぁぁぁぁぁ」
わき腹に回し蹴りが強烈に決り左に吹っ飛んだエミ。
地面に倒れ蹴りをくらったわき腹を押さえて痛がる。
「くっ息が・・・うまく出来ない」
苦しがっている間にユミが迫って来る。
なんとか起き上がるが膝を付くのがやっとだった。
エミの目の前で立ち止まったユミ。
ユミの顔を見上げるように見ると、自分を見失ったユミが笑っていた。
「ばいば~い」
笑いながらエミに殴ろうとした時、どこからか何かが走って来るよな足音が聞こえてきた。

     


「やらせない!」
ルカの声がしたとともにルカは、ユミの腹部に渾身の蹴りをくらわせた。
ルカに蹴り飛ばされたユミは、3メートル先の壁に直撃した。
「アンタ・・・」
膝を付いているエミの目の前に体中、金色に輝きキツネミミを出し、九本の白い尻尾を上下にユラユラと動かしているルカだった。
「立てます?」
「なんとか・・・」
脇腹を押さえながら立ち上がる。
「このままだとまずいですね、ユミさんは完全に我を見失っています」
「もう、ユミを止めるには、私かユミが消えるまでやり続けるしかない」
「そんなの駄目よ!もし、どっちかが欠けたりしたら史樹君が悲しむわ!」
「だったらどうすればいい!」
二人で話をしていると壁に直撃したユミが、真っ赤な瞳をルカではなくエミにロックした。
「エミがいなくなれば、エミがいなくなれば、エミがいなくなれば」
一人で呟いたのち再びエミに向かって走り出した。

「来るわ」
こっちに走り出して来たユミを確認したルカとエミは、ユミの攻撃に備える。
――おそらくユミさんの狙いは間違いなくエミさん
二人に近づいてくるユミの軌道が徐々にエミに向かって行く。
「狐流奥義!狐火!」
ルカがそう唱えると、ルカの九本の尻尾の先から中くらいの火が九つ現れた。
「くられ!」
九つの火の塊は、ユミに向かって放たれた。
ルカからの攻撃に気づいたユミは、立ち止まり飛んでくる火を待ち構える。
飛んで来た火の塊を一つ、また一つと手で払う。
「この隙に!」
ユミ接近するルカ。
最後の一つを払ったユミの目の前に、近づいて来るルカを確認したユミ。
ユミに攻撃をすると見せかけ、瞬時に後ろに回り込み右のローキックを仕掛けるが。
「どうして!」
ルカのキックは、簡単に右手でガードされた。まるで攻撃が分かっていたかのように。
「ざんね~ん」
ユミは、ガードした右手ですぐにルカの右足をがっちり掴むと。
そのままルカを空へ投げ飛ばした。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
空中に投げ飛ばされたルカは、体を空に向けたまま上昇して行くと目の前に、不気味に笑いながらユミが現れた。
「さようなら」
ユミは、空中でルカの腹をおもいっきり殴った。
「ぐぁっ!」
腹を殴られたルカは、ものスゴイ勢いで地上に落下して行く。
そして、地面に直撃したルカは、地面に横たわり動かなくなった。
「ルカさん・・・」
ルカとユミの戦闘をただ見ているだけだったエミは。
――何で私、ルカさんの加勢に入らなかったの
そう自分で思っていると。
「エ~~~ミ~~~」
空中で降りて来るユミ。
「ユ~~~ミ~~~」
空から降りて来る二つの赤い目と、地上で待ち構える銀色と金色の目が衝突をしようとした瞬間。
「やめてくれ!二人とも」
二人の間を一人の青年が割って入って来た。
「史樹!」
「史樹様!」
間に入って来たのは、史樹だった。
ユミは、地上に着地した。
「史樹どいて!」
「どかない!」
エミに怒鳴るように史樹が言った。
「史樹様、邪魔しないでください」
近づいてくるユミ。史樹のすぐ後ろにはエミがいる。
「もう、やめてくれユミ」
「嫌です。そこをどいてください」
「嫌だ!」
「分かりました・・・」
ユミは、地面に落ちていた出刃包丁の破片を手に持ち史樹に向けた。
「どいてくれなければ刺しますよ」
「構わない」
「分かりました」
ユミは、史樹に向かって突き刺そうとした瞬間。
「うっ!」
突然頭を抱え始めたユミ。
「ユミ!」
ユミに近寄ろうとした時。
「いけません史樹様!」
ユミから出たその声は、いつも聞く優しいユミの声だった。
「ユミお前・・・」
ユミをよく見ると赤くなっていた二つの目は、片方だけいつものユミの目をしていた。
「史樹様!今の私は、自分でコントロール出来ません!なぜ、自分がこのようになったか・・・」
すると、持っていた出刃包丁の破片を史樹に突き刺しに行くユミ。
「史樹!」
後ろにいたエミが回り込もうとしたが遅かった。
出刃包丁は、突き刺さった。突き刺さった周りからは、血がにじみ出て服を赤く染める。
「ルカ・・・さん・・・」
確かに突き刺さった。が、突き刺さったのは史樹ではなくルカだった。
ルカは、瞬時に史樹の目の前に現れ史樹を守るように自分から刺さった。
「私は、人を・・・」
ルカを刺して戸惑いを見せるユミ。
「今だ!」
エミは、ユミの後ろに回り込み史樹を気絶させたのと同じように首を叩いた。
すると、ユミは地面に倒れた。
「ルカさん!」
ユミが刺した破片は、背中から入り腹を貫いた状態で止まっていた。
「史樹君・・・貴方を守れてよかった」
そう言い残しルカは、目を閉じた。
「いやだ~~~~~~~~~」
満月の空に向かって史樹が叫んだその直後だった。
「ぐあわぁぁぁぁぁぁぁ」
いきなり、頭を抱え込んで史樹が倒れた。

       

表紙

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Neetsha