Neetel Inside 文芸新都
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ある日の日
記憶

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「ここは・・・」
ユミが目が覚めるとそこは、自分の部屋だった。
布団から起き上がるとタイミングよくエミが部屋に入って来た。
「起きたか」
ユミの隣に行き座る。
「私は、人を・・・」
「それ以上言葉に出しちゃ駄目」
自分の両手を震えながら見た後、両手を顔に当てる。
「ねぇ、ユミ何でこんなことしたの?」
「わからない、学校の帰りでそのあとは覚えてない、気が付いたら私は・・・」
「わかった、もういいよ」
エミは、やさしく頭を撫でてあげた。
「私、エミに酷いことしたの?」
「してないよ」
首を横に振り微笑む。
「嘘よ、なんでエミは、そんなに怪我してるの!」
顔に当てていた手をどかして強めに言った。
エミの体は、色んなところに包帯が巻かれていた。
「私は、一体どうしたの・・・」
「もういい、もういいんだよ」
エミは、ひたすら微笑みながらユミを撫でるだけだった。
「ユミは、もうすこし休んでて史樹の様子見て来るから」
立ち上がると。
「待って!私も行く!」
「でも・・・」
「私なら大丈夫だから」
「分かった一緒に行こう」
二人は、部屋を出て史樹の部屋に向かった。

「史樹、入るよ」
ドアをゆっくり押して二人は、史樹の部屋に入った。
「まだ、寝てるみたいだね」
寝ている史樹隣に二人座りユミが小声で言った。
「なんで、いきなり史樹は気絶したのかな?」
「えっ!疲れたから寝てるんじゃないの?」
首を横に振る。
「実は、ユミを気絶した直後いきなり頭を抱えて気絶したんだ」
「そんな・・・」
「あとそれからユミが刺したルカさんって人ね」
下を向くユミ。
「史樹が気絶した後に、体が突然光り始めて細かい粒子になって」
すると、エミはポケットから銀色のペンダントを取り出した。
「これになったんだ」
そう言ってエミは、ペンダントをユミに手渡した。
ペンダントには、丸い透明な玉が付いていて狐の模様が彫られていた。
ユミは、ペンダントを握りしめると。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい」
涙を流し謝り続けた。
すると。
「うん?」
史樹が目を覚ました。
「史樹!」
「史樹様!」
史樹が覚ましたことに気づいた二人。
史樹は、起き上がると二人の顔を交互に見始めた。
「よかった、突然気絶するから驚いたんだよ」
「・・・史樹様」
二人の顔がほっとした。が、史樹の一言で二人の顔が一変した。
「あの~二人は誰ですか?」
この一言で二人の顔から喜びという名の笑顔が一気に消し飛んだ。
「・・・史樹?」

     


次の日。ユミとエミは、史樹を病院につれて行くことにした。
史樹が診察を受けている間にユミとエミは、診察室の前で座って待っていた。
「史樹どうしたんだろう?」
「私たちの事覚えてない感じだったよね」
ユミとエミは、夜の史樹の様子が気にっていた。
それから、時間が静かにゆっくり流れていった。

「どうぞ」
診察室のドアが開き医者が二人を招いた。
二人が診察室に入る代わりに、史樹が部屋を出て二人が座っていたところに座った。
ユミとエミは、並ぶように椅子に座り前に医者が座る形。
「所直に申し上げると史樹君は、記憶喪失です」
医者の言葉に固まる二人。
「おそらく、史樹君の周りで何らかの強い精神的ダメージのせいだと思われます」
「精神的ダメージですか?」
不安な顔したエミが聞く。
「はい。ここ最近に史樹君に何か起きませんでしたか?」
医者の言葉に二人の頭に思いつく事があった。
――ルカさんの死
「多分、何かを強く拒絶したせいで記憶を失ってしまったと思います」

ユミとエミが医者と話をしているころ。
診察室の外で待ってる史樹は。
「あの二人誰なんだろ?初めて会うのに何か初めて会う感じがしない」
下を向いたまま呟く。
不意に左を史樹が見ると車いすに、乗った女の子が自動販売機の上の方のボタンを押そうとしていた。
それを見た史樹は、立ち上がり女の子の方へ歩いて行く。

「ん~あとちょっと」
必死で押そうとしている。
「これでいいの?」
その女の子に史樹が声をかけ聞く。
「えっあ、ん」
ボタンを押し出てきた飲み物を渡す。
「ありがとう」
「いえ」
その場から、去ろうとするとその子は。
「ちょっと待って」
振り返る史樹。
「時間ある?あるなら話しない?」
史樹は、二人の話が長くなりそうだと考え。
「うん、いいよ」

病院の中庭のベンチに、史樹が座り車いすの女の子が隣。
「アンタ、名前は?」
「長月史樹って名前らしい」
「らしいって?」
「僕、記憶をなくしたみたいんだ」
空を見る史樹。
「そうなんだ」
史樹と同じように空を見上げる。
「私の名前は、小橋涼華」
風が心地よく吹く。
「いい名前だね」
「そうかな」
照れたのか顔が赤くなる。
「いつからここの病院に?」
「半年前から」
「親の人いつ来たりするの?」
すると、突然。
「来ない・・・」
「え?」
「親は、一度も来たことなんかない!」
怒鳴るような感じで言った。
「そうなんだ・・・」
空気が重くなる。
「詳しく聞きたい?」
「いや、いいよ」
聞いては、いけないと史樹は思った。
「ありがとう」

二人が話をしているところに。
「史樹~」
ユミとエミがやって来た。
「史樹様この子は?」
「さっき知り合った小橋涼華ちゃん」
「どうも」
軽くお辞儀をする涼華。
涼華の前でしゃがむユミとエミ。
「私は、猫柳ユミ」
「ウチは、犬井エミ」
にっこり笑いながら自己紹介をした。
「今日は、帰ろう史樹」
「あっはい、じゃね」
すると、史樹の袖を掴んだ涼華。
「明日、私に会いに来てくれる?」
「え?」
「別に来なくてもいいけど来ないと独りぼっちだから」
下を向く。史樹は、袖を掴んでいた手を握りしゃがんで。
「いいよ」
「ホント!」
顔が明るくなる。
「うん!」
「絶対だよ!」
「約束してあげる」
史樹は、涼華と約束を交わし病院を後にした。

     


夜。ユミとエミは、話し合いをしていた。
「とりあえず、史樹が記憶を取り戻すまで学校は、休ませる?」
「うん、今は、家でゆっくりした方がいいね、私も休むエミ一人だと大変だと思うし」
リビングで並んで座っていると。
「あの~いいですか?」
史樹が二階から降りてきて、二人のところにやって来た。
「何ですか?史樹様」
椅子から立ち上がり、史樹の方に向かうユミ。
「明日、小橋さんのところ行きたいんですけど」
顔を見合わせるユミとエミ。
「わかりました。それと記憶が戻るまで学校は休んでいいですよ」
「あっはい、わかりました」
史樹の話し方にエミが。
「史樹、敬語じゃなくていいよ」
「いえ、自分は、敬語がいいです。それじゃ上に行きます」
二階に上がって行った。
「史樹が敬語を使うと調子が狂うな~」
「エミ、私たちが猫と犬ってことは、言わない方がいいと思うもし言ったら混乱するんじゃないかな?」
「そうね」
部屋に戻った史樹は、ベットの上で体育座りで。
「早く記憶を取り戻した方がいいのかな?」

朝。今日から10月を向かえた。
史樹は、涼華のところに向かうため出かける準備をしていた。
「携帯よし!財布よし!」
準備ができ部屋を出て階段を下りて行く。
玄関で靴を履いていると。
「史樹様行くんですか?」
ユミとエミが来た。
「あっはい」
「ひとりで行ける?」
靴を履いて立ち上がり二人の顔を見る。
「大丈夫ですよ」
「そうですか、史樹様これを」
ユミが史樹にある物を渡した。
「なんですかこれ?」
ユミが渡したのは、あの丸い透明の玉が付いているペンダントだった。
「史樹様がいつも付けていたペンダントです」
「僕、狐が好きだったんですか?狐の模様が入ってますけど」
「はい、そうです」
史樹は、ペンダントを首に掛けた。
「史樹これ持ってて」
「これは?」
エミが渡したのは、銀色で小さい笛のようなものだった。
「それ犬笛、なんかあったらそれを思いっきり吹いて」
「?、わかりました」
史樹は、ポケットにしまった。
「それじゃ行ってきます」
「行ってらっしゃいませ」
「行ってらしゃい」
涼華に会いに史樹は、家を出た。


1時間かけてバスを乗って病院に着いた。
史樹は、まず涼華がいる病室をナースセンターで聞く。
結果、涼華がいる病室は、603号室の個室という事がわかった。
エレベータ―を使い目的の病室に向かう。
「ここだな」
603号室の前まで来た。
「よし!」
コン、コン、コン
ノックをしてドアを横に引く。
「小橋さん?」
「うん?あ!ホントに来た!」
史樹の声に反応し、窓の外を見ていた涼華が長い栗色髪をツインテールにまとめ振り返った。
「調子はどう?」
ベットの隣にある椅子に座る。
「いつもと同じ」
「そう」
「あのさ、今日学校あるんじゃない?」
「実は、記憶が戻るまで休んだ方がいいってユミさんが」
史樹の言葉に反応する。
「まさか!一緒に暮らしてるわけじゃないよね?」
「一緒に暮らしてる」
史樹の言葉に食いつく。
「何で?何で一緒に暮らしてるのよ!」
「なんかユミさんとエミさんは、僕に恩があるとかで」
「何それ、なんかいい事でもしてあげたの?」
「聞かれても・・・僕は」
下を向く史樹。
「あ、ごめん」
記憶を失くしてることに気が付いた涼華。
空気が重い。
「ねっねぇ~名前で呼んでいい?」
「え?いいけど」
涼華の顔を見る。
「史樹だったね、私の事も名前で呼んでいいわよ」
「いいの?」
「別にいいのよ呼びたくなくっても」
腕組みをしてふくれたように言う。
「じゃあ涼華さん」
頬が赤くなりモジモジする。
「さんは、いらないわよ」
「だって・・・」
片手で頭をかく史樹だった。

       

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Neetsha