雅のいない昼休みのひと時、俺はぼーっと黒板を見ていると、同じクラスに友達が居ないことに気づいた。
たしかにヲタクラではあるが、話す相手が居ないのはいないのはさすがにつらい・・・・俺はバンドのメンバー集めより先に友達を作らなくていいのか?つか俺はなんでジャーマネなんだ?!おかしくないか?
・・・・・・・・・・・・
俺は物事の不道理にきづいた。
俺は反乱を起こす決意を固め席から勢いよく立ち上がった。
「わっ!」と、後ろから声が聞こえ、そのまま俺は脇を刺され悶絶した。
「びっくりするじゃない!急に立たないでよ。」
「す・・・すまん。」
なにを謝ってるんだ?
「困るわね~本当に、それより聞いてよベースをできるって人が1年生に居るってよ!」
待て!反乱を起こすんだ!俺!
「だから、放課後にその子を勧誘しに行くわよ!」
反乱を・・・・!
「聞いてんの?」
「はい・・・・」
俺の決意は崩壊した。
そして放課後、俺たちは例の1年生を勧誘しに、1年の教室の並びがある1階に来た。
「帰ってるんじゃないの?」
「そんなはずないよ、私昼休みに『放課後教室に待っててね』って言っといたから」
こいつにそんな事言われると別のことを期待するんじゃないのか?ベースっていうくらいだから男だろ?
「さぁ着いたわ、さぁ入るわよ」
ガラッ!「たのも~」
それは、道場破りのセリフだろ・・・・
と、突っ込もうと思ったら俺は眼の前に居る女の子に目を奪われた。
「やっほ~お昼ぶり~昼間の話考えてくれた?」
「はぃ、でもまだ決めかねています。」
「う~ん、やっぱり部活と両立はまずいかな・・・って楓?」
「ぇ?」
「なにボーっとしてるのよ?あんたも何か言ったら?」
まずい・・・俺としたことがあまりにもかわいいくて緊張してしまってる。
「あの・・・お茶でもいかがですか?」
場は凍った・・・・俺には永遠に値する位、辱めの時間を与えられた。
「あんた馬鹿じゃない?なんでお茶なのよ。もういいわ、あんたは話さなくて。」
俺は胸を裏拳でたたかれて後ろに引いた。
「で・・・あれ?名前なんだっけ?」
「あ、水練路 志乃です。」
いい名前だ。
「変わった名前ね。」
おい!
「じゃぁ志乃ちゃん、もう一度考えてくれない?私たちあなたが必要なの!」
この場に長い沈黙が流れた。まぁ無理も無い今日初めて会った人間にいきなり部活を辞めてバンドを組もうなんて言われたら普通は断る。相手が先輩だからどうやって断っていいのかわからないんだろう。ここは俺が。
「なぁ、雅。俺も入ってもらいたいの山々だけど、志乃ちゃんだって今日いきなり誘われたって困るだけだって、無理に誘うのは良くないから今日は引こうぜ。」
ナイス俺。後でメアド待ってるぜ志乃ちゃん。
そして、俺はすがる様な目で志乃ちゃんを見つめる雅を連れ出そうとした時。
「私、やります!」
「え?」
俺と雅は珍しくハモった。
「先輩たち悪い人じゃなさそうですし、私もバンドはやってみたかったから、私でよければやらせてください!」
俺と雅は空いた口が塞がらなかった。