「ただいま」
人の気配のない部屋に明かりをともす。
返事は、当然ない。
「つかれた」
返ってくるはずのない独り言を吐き、明日やろうと先延ばしし続けたゴミの中に腰を下ろす。
安物の缶ビールのプルを開け、半額シールの貼られた弁当をモソモソ食べる。
「あ」
ふと、カレンダーを見た。
気がつけば、今年でもう三十だった。
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