スター☆の短編小説
「君との約束」
あれは、いつだっただろうか。
君と約束したことがあった。
でも・・思い出せないんだ・・。
まるで遠い記憶のようなそんな約束だった気がする。
私の名前は、狩野千穂
普通の、高校生。趣味は、音楽鑑賞、読書
クラスでは、浮いている存在かもしれない。
いつも、窓際で1人ボーっと過ごしている。
そんな時だった、隣の席の人が紙ヒコーキを飛ばしてきた。
「いて・・」何だろうと思って紙ヒコーキを手に取って
試しに、広げてみた。
「狩野ってさ、いつもボーっとしてるよな」
どうでもいい内容だった^^w
隣の席の人は、目立つわけでもなくかつ
地味でもない・・普通の人だった。
私は、別にそんなことどうでもいいと思い
そのままボーっと窓際の外を眺めていた。
私には、好きな人がいた。
クラスは違うけど・・・どことなく惹かれる人だった。
未だに、その人と話したことはない。
すると・・そんなことを思っているとまた
何かが飛んで来た。
もう1個今度は折り鶴を置いてきた。
私は。。またどうせ・・どうでもいいこと書いて
いるんだろうと思って開かなかった。
その日の晩、ふと寝る前にあの折鶴を思い出した。
「どんなメッセージが書かれているんだろう?」
気になって・・・開いてみた。
そこには、こんなことが書かれていた。
”狩野ってさ・・B組の原田のこと好きだろ?
俺で良ければ協力するけど?w
返事は口でよろしく^^”
などと書かれていた・・。
誰にも言ってないのに・・・バレてたのかと・・
急に・・恥ずかしくなった。
次の日、隣の席のやつはそこに居た。
私は、そいつに声をかけた。
「あのさ・・」
「ん??何だ?」
「昨日の・・メッセージの返事だけどさ・・」
「おう^^読んでくれたか。」
「その・・協力頼んでいいかな・・」
「もちろんw俺はそのつもりだったしな(笑)」
「ありがとう・・。」
「いえいえ^^」
それだけ言って私は、自分の席に着いた。
それから・・隣の席のやつは
いろんなきっかけを与えてくれた。
初めて好きな人と喋れた。
「狩野さんって、親切なんだね」と
原田くんに褒められて・・嬉しくなった。
私はさっそく隣の席のやつに報告した。
「初めて、喋れたよ!」
「おーおーw良かったじゃねーか^^w」
「ありがとう♪」
それから毎回のように隣に報告するようになった。
そして・・ついに私は原田くんに告白された。
「俺・・狩野さんいや・・狩野こと好きになったんだけど・・
付き合ってくれん?」と
帰り際に言われた・・。
もちろんokした。
でも・・さすがにコレは隣には報告出来なかった。
でも、アイツは声かけてきた。
「よぅ^^w狩野、原田とは上手くいってるか?」
「ううん・・順調だよ」
「それは良かったwじゃないと俺のしたことが無駄になるからな。」
そして・・原田くんと付き合い始めて1ヵ月が経った。
「キスしよ・・?」
「えww」
「だって俺ら、彼氏彼女でしょ?」
「うう・・ん」
心置きなく私は、原田くんとキスをした。
でも、だんだんと隣のやつと気まずくなった。
でも向こうはそれでも声かけてきた。
「原田とはどこまでいった?」
「キスはしたか?」
「手は繋いだのか?」
「抱きしめたりしたのか?」
と次々に問いかけてきた。
もちろん私は・・・
「キスはしたよ・・」とだけ答えた。
すると隣のやつは・・
「ふーん・・。まぁそんなもんだろう」
とすこしつまらなそうな反応だった。
その日の放課後、私は部活で遅くなった。
靴箱に行くと誰かがいた。
「よお^^お前まだいたんだな・・」
「うん・・。部活長引いちゃって^^;」
「そっか・・危ないから送ってくよ^^」
「ありがと・・」
彼氏がいるのに・・罪悪感はあったけれども・・
そいつの優しさに甘えてしまった。
「狩野・・」
「ん?w何?」
「お前・・本当に原田のこと好きか?」
「えw急にどうしたの?」
「いや・・何でもない・・」
そう言って隣の奴は言葉を濁したまま
他には何も言わなかった。
次の日、隣の奴は欠席だった。
どうやら、風邪で欠席らしい。
私は・・何を思ったのか・・
隣の奴の家を担任の先生に教えてもらい
尋ねた。
隣の奴は・・・マンションに住んでいた。
コンコンとノックをした
でも返事はない。
「失礼します。」と言って私は
部屋の戸を開けた。
隣のあいつはベッドで寝ていた・・。
「スースー」と寝息が聞えた。
私は起さないように・・帰ろうとした・・
すると・・その時だった・・
「狩野・・・?」
と・・確かに隣のやつの声だった。
「なんで・・俺んち来たの?」
「お前・・二股か?」
「俺はお前には協力するとは言った。」
「でもな・・お前が俺に惚れられても困るんだよ」
私は・・・何も言い返せなかった。
でも・・私は言った。
「君は・・・私のことが好きなんでしょ?」
「なんでわかったんだよ・・」
「だって・・普通好きでもない子に協力しようだなんて・・
言うはずないよ・・」
「あーあーバレちまったか^^」
そういうと隣のやつはむくりと起き上がった。
「だってお前・・いっつも原田見てたじゃん」
「あんなイケメンに勝てるわけねーじゃんって思ってさ
だから・・協力するなんてこと折鶴で渡したんだよね」
「そうだったんだ・・。」
「うん」
「狩野はさ・・原田と俺どっち取るの?」
「え?!」
「まぁこんなこといきなり問いかけられても
戸惑うよな(笑)」
「原田くんときっかけを作ってくれたことは
感謝するよ。でもね・・原田くんと付き合えて
嬉しいはずなのに・・いつも気になるのは
君なんだ・・」
「ふーん・・そうかい」
「てかさ・・それって俺のこと好きってことなんじゃないの?」
「そんなわけ(ry」
言うまもなく私は彼に抱きしめられていた。
「すきだよ・・狩野・・」
「・・・・・。」
私の・・心は揺ら揺らと揺れていた。
どっちを・・選べばいいんだろうと・・
「決めるのは、狩野お前だよ^^」
「うん・・・。」
そして・・次の日・・
原田くんに別れを告げた
彼も・・「君と付き合えて楽しかったよ」と
一言残し・・寂しそうな顔で去っていた。
私は・・自分の席へと向かった
隣のやつは・・私の顔を見るなりこう言った。
「お前よくやったなw」
「うるさいww」
「放課後デートしない?」
「いいよん♪」
そうだ・・思い出した・・・
約束は・・・君の隣にいること。
不可能なことを可能に変えたいそれが
私のささやかな願いです。
end