◆あとがき
どうもどうも、作者です。
早いもので、この『僕はポンコツ』で4作目の完結作品です。今まであとがきというのを書かないようにしていましたが、これに限っては書かないとダメだよな、と思い、メモ帳を開きました。
よもやあとがきから読むような人もいないと思うので、ネタバレありです。あと、読者の皆さまにはやや驚きな内容があるかもしれませんが、ご了承ください。このあとがきまでが『僕はポンコツ』だと作者は思っていますんで。
初ニノベ作品、いかがでしたでしょうか? もともとラノベテイストな文章を書くので今さら感がありますが、まあそれはそれとして。
作者の唯一の武器と思われる『ユニークなアイディア』は今回封印し、ベタベタなボーイ・ミーツ・ガールにしてみました。最初はどうなるものかと思いましたが予想を上回るコメント数やレビュー、ねとらじでの紹介、FAをいただきました。もう感謝しきれないぐらいです。しかも表紙にまで載せてもらいました。もう驚きです。
特に立川さんが愛されすぎていて驚きです。よもやここまでのものになるとは思ってもいませんでした。彼の妹も案外好評なのも予想外でした。彼は想像通り言われたい放題でしたけど。
学園モノと言いつつ、実際学校内の描写はほとんどないので、学園である必要がなかったりします。が、そこはそれですよ。あははは。
では、一通り感想を言ったところで。
ここからが本題です。
まず、『僕はポンコツ』は実話が元の作品です。もちろん、すべてノンフィクションというわけではありません。というのも、主人公である『彼』のアサダくん(もちろん仮名)は実在するからです。
『彼』と作者は親しい間柄でした。なので、100パーセントとは言わないまでにしても、ほぼリアルな『彼』を書くことができました。ところどころ盛り上げのために脚色した部分はありますが。
『彼』とその母親との昔の出来事、そして『彼』の苦悩はすべて、本当のことです(実際『彼』は作中以上に苦しんだことでしょうが、それを表現する能力を作者は持っていません)。
ここまでなら「ノンフィクション風なだけじゃね?」なのですが、ここからが本題です。
たしかに実話が元と言いました。作者は忠実に書き上げたつもりです。が、現実にはなかったことを組み込みました。
それが、『立川はるか』と『妹』です。
後にも語りますが、現実には『立川はるか』のような【救世主】、『妹』のような【理解者】はいませんでした。
そうです、作者は『彼』の【救世主】にも【理解者】にもなれませんでした。
作者はずっとそのことが引っかかっていました。いずれどこかで向き合わなければならない、とも思っていました。ただ向き合い方が決まらないまま、ずるずると逃げていました。
ある日、新都社にやって来ました。そこで連載(私とお酒の日々)を始めてしばらくして、こう考えました。
「『彼』を助ける話を書くというのはどうだろう」と。
もちろん自己満足です。それはわかっています。
作中の地の文でずっと主人公を『彼』と表記していたのは、作者視点で書いていたからです(時々一人称になるのは作風です。ご了承くださいまし)。
作者は『彼』に【救世主】と【理解者】を与えました。
そして作者は3-lastを書きました。
その後は、『彼』に委ねました。そのまま『僕はポンコツ』を投げることになってもしかたないかなとも思いました。が、『彼』は母親とぶつかり、自力で成長してくれました。それが作者の自己満足でも、作者はすごく嬉しかったんです。
『立川はるか』は【救世主】です。その役割は“『彼』の話しを聞いてあげる”です。
後に『妹』ことも語りますが、身内に話せないことを話せる相手、そんなポジションです。
存在しない人物ということで、『現実感のないキャラクター』にしようと思いました。そこで、作者の好みや趣味が反映されたキャラクターになりました。
ボーカロイド好きで、めちゃくちゃ美脚で、お風呂上がりにビールを呑んじゃうような女子。髪型や顔つき、性格、名前もだいたい作者の好みです(本当は『Cカップで美乳』も入れたかったんですが、脚に注目してほしかったのでペタンコにしちゃいました)。
素の状態が関西弁なのは、本音が出ているときや動揺している状態を表現するためでした。
『現実感のないキャラクター』というモチーフなのに、やはり恋する女子は強いのか、やったら人気があったように思います。そこはちょっと意外でした。
『妹』は【理解者】です。その役割は“『彼』をちゃんと褒めてあげる”です。
本当は『立川はるか』を【救世主】兼【理解者】にしようと思っていましたが、書いている途中で「『立川はるか』は理解できそうにない」と気づき、急遽『妹』を登場させました(たしかに3-appendで『立川はるか』は彼を褒めていますが、それは『彼』の話から率直に感じただけであって、きっと理解ではない)。
突然の抜擢だったのでキャラクターとしてはかなり薄っぺらですが、『彼』を昔から知っているからこそ褒めるあげる、という意味では適役でした。その褒めるシーンも何気なくさらっと流すように書きましたが、あれぐらいが自然なのかなと思います。
ほとんどを『バカな妹』と表現していますが、おそらく作中で最も物事を考えていた賢い子なんじゃないのかなと思います(コメントでも散々ツっこまれましたが……)。
あとは、終わり方ですかね。あれ、どう思いましたか? 最初から考えていた終わり方ですが、きっと予想外だっと思います。
しかし、考えてみてください。
この作品は誰が主人公なのか、それを踏まえて、ハッピーエンドとはなんなのか。
仮に『立川はるか』と結ばれるエンドとしたとき、それは『立川はるか』にとってはハッピーエンドかもしれませんが、『彼』にもハッピーエンドなのかと考えたときに、それは作者的にはNOでした。
【救世主】と【理解者】、この2人を用意したのはたしかに『彼』を助けるためです。が、この『助ける』というのが、なにからなにまで助けるわけでなく、変わるきっかけを与える、という意味合いが大きかったんです。
そりゃあ『立川はるか』と結ばれればもう順風満帆でしょう。ですが『立川はるか』はきっかけを与えるだけの存在です。それ以上『彼』に干渉させる気はなかったんです。
『彼』には自力で変わってほしかったんです。変わる変われないの結果はさておき、そんな経過を歩んでほしいなと思ったんです。
……と、偉そうに言ったものの、今ではすごく実際は心が痛いです。『立川はるか』には悪いことしたなと思っています。途中フォローっぽく番外編も書きましたが、あまりフォローにもなっていないでしょう。
特に、関西弁でなくなった『立川はるか』を書くのは心が折れかけました。
後悔はないのか? そう問われると、即答はできません。
あとがきとしては以上です。最後に誤解のないように言っておくと、『彼』は今、元気にやっているようです。母親とも仲良くやっているようです。
次回作は、もう少し楽な気持ちで書けそうなのを書いてみたいですね。後半は少々つらかったので。
それでは、ずいぶん長くなってしまいましたが、こんなところで。それではまた、機会があれば。