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第百二十三話 願望

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【11日目:未明 屋外南ブロック】

 生徒会長・水無瀬操とその支持者・世渡麻央斗の遺体を簡素にではあるが弔った後で、暁陽日輝・安藤凜々花・四葉クロエの三人は、再び北上していた。
 一ノ井雫と鎖羽香音、あの二人の追撃は今のところない。
 しかし、雫のあの強力な能力――『吸血鬼(ヴァンパイア)』の脅威を思えば、用心に越したことはなかった。
 陽日輝たちは途中で水分補給や用足し目的の小休止を挟みつつ、数時間かけて南ブロックの端、中央ブロック付近まで移動していた。
 雫たちを警戒して迂回や、進行方向の偽装(向かわない方向にわざと痕跡を残したりした。これはクロエの発案だ)をしつつなので、たっぷりと時間を費やしてしまったが、こうして未だに襲撃を受けていないということは、それらの細工には一定の効果があったのかもしれない。
 ――この移動中に発生した出来事は二つ。
 一つは、『議長』による放送。
 今回は新たなルールや要素の追加は無く、現在生存している生徒の名前が改めて発表されただけだったが、その時点から今に至るまででさらに二人分、手帳に表示されているカウントは減っている。
 それが雫と羽香音だったら正直なところありがたいが、その可能性は低いだろう。第一その場合、彼女たちに連れ去られた辻見一花もまとめて殺され、カウントが三人分減っているほうが自然だ。
 そしてもう一つは、南第二校舎で自身を罠に嵌めた夜久野摩耶の遺体の発見だ。
 『議長』による放送で名前を呼ばれていなかったので、彼女が死んでいることは分かっていたが――南第二校舎の廊下で発見した彼女の遺体は、
見るも無残な有様だった。
 どれほど無残かというと、凜々花が思わず廊下の端に跪いて嘔吐し、クロエですら顔をしかめるほどだった――内臓という内臓は引き摺り出されてそれが摩耶の首や手足に巻き付けられ、肋骨の大部分が抜き出され、両目含む体のあちこちに杭のように突き立てられていた。不謹慎ながら、趣味の悪い現代アートを連想してしまったほど、摩耶の姿は変わり果てていた。
 ただ単に殺すだけではそうはならない――拷問目的だとしても明らかに過剰。
 摩耶を殺した誰かは摩耶の死後も、執拗に遺体を損壊したのだ。
 そんなものを見てしまったから、今も陽日輝たちは言葉少なだ。
 今は中央ブロックとの境目にある屋根付きの休憩スペースで、少し長めの仮眠休憩を行っている。
 向かい合った二つの出入り口部分だけ開いた高さ一メートルちょっとの円型の木製の囲いがあり、その中に同じく木製の机と、長椅子二つが固定されている、公園によくあるような設備だ。
 一人が外から死角になるように地べたで仮眠し、二人が出入口横の囲いにもたれ、それぞれ逆の方向に視線を向けて見張りをしている。
 『暗中模索(サーチライト)』があればこういうときにより安心なんだろうな、と陽日輝は『楽園』で別れた友人・相川千紗のことを考えた。
 同じく友人の日宮誠と共に、今もどこかで生存しているはずの二人。
 ――放送があってから減った二人分のカウントが、彼女たちでないことを願う。
「凜々花ちゃん、大丈夫か? 見張りは俺一人でもいいから、凜々花ちゃんももう少し休――」
「ダメですよ、陽日輝さん。それで誰かに近くまで来られてピンチ、なんてことになったら、クロエに怒られますよ?」
 相変わらず顔色の優れない凜々花は、そう言って弱々しく微笑んだ。
 この生徒葬会を通じて、様々な死体を目の当たりにしてきた凜々花でも、摩耶の不自然に虐げられた死体は堪えたのだろう。生命を冒涜した行為に対する生理的嫌悪感が、嘔吐するほどの激しい拒絶反応に繋がったのだ。
「凜々花が辛いなら休んでもらっても結構ですわ。引き続き私と陽日輝で見張りをしますので」
 先ほど凜々花と交代して横になったばかりのクロエが、こちらを見上げながら言う。
 実際、クロエは比較的疲労や眠気を感じさせない様子ではある。
 文化系の凜々花と違って基礎体力が高いのだろう。
「……クロエ、ありがとう。陽日輝さんも、すいません。でも、大丈夫です。ちょっと――思い出してしまっただけですので」
「思い出したって――」
 そこまで言いかけて、陽日輝はハッとした。
 摩耶の凄惨な遺体を見た凜々花が、哀しそうな瞳で思い出す相手。
 そんなの、中学時代からの親友だったという天代怜子に決まっている。
 彼女も辱しめられた上で全身を滅多刺しにされるという非業の死を遂げた。
 仇である木附祥人を討った今でも、親友の死を看取った痛みは癒えないのだろう――癒えるはずがない。
 陽日輝も、この生徒葬会で友人二人を手にかけている。
 その感触、彼らの表情――忘れられるはずがなかった。
「……私も、この生徒葬会で生き残るために人を殺しました。それを正当化するわけではないですが、『議長』に強いられたこの状況で、誰かを殺すことはやむを得ないことなのかもしれません。ですが――怜子や、南第二校舎で見たあの遺体のように、尊厳を踏み躙られた死は――見ていて、辛いです」
「……凜々花ちゃん」
 陽日輝は、姿勢を囲いより上げないように地べたを膝で這うようにして、凜々花の傍に寄った。
 そして、その肩をそっと叩く。
「俺も同じ気持ちだ。だから、辻見さんのことも絶対に助け出す。血を吸うためだけに生かされ続ける――そんなのは」
 そこで思う。
 一花を己のエゴで生かし続けようとしているのは、自分だって同じだと。
 それを凜々花やクロエが気付かないわけがなかったが、それでも陽日輝は言い切った。
「――間違ってる」
 案の定、クロエが肩をすくめた。
 地べたに横たわったまま、呆れ半分咎め半分のジト目でこちらを見上げる。
「よく言いますわね……」
「――そう言わなきゃやってられないからな」
 陽日輝はそう言って、テーブルの脚の横に置いていたペットボトルを手に取った。
「こんな俺に付いてきてくれてありがとな、クロエちゃん」
「……別に。あなたたちのこと、嫌いじゃないってだけですわ」
 クロエは、そう言ってプイとあちらを向いた。
 そんなクロエを見て、思わず笑みがこぼれる。
 陽日輝はペットボトルの中の水を少しだけ飲んだ。
 ――事が起きたのは、それから十数分後。
 クロエの仮眠が終わり、最後に陽日輝の番となったときだ。
 陽日輝がふと顔を上げたとき――視界の奥に、人影を捉えた。
「……!」
 陽日輝は凜々花とクロエに目配せし、何者かの出現を伝えた。
 すると、仮眠明けのクロエも、顔色の悪かった凜々花も、途端に表情を引き締め、臨戦態勢となる。
 凜々花はカード、クロエはベルトにカラビナで付けたペットボトルに手をかけ、いつでもそれぞれの『能力』を使用できる状態を整えた。
 陽日輝はそれを確認した上で、引き続き休憩スペース外の様子を窺う。
 その人影は、周囲を見回しながらゆっくりと近付いてきていた。
 どうやら、こちらがここにいることに気付いているわけではないらしい。
 それならば、このままここに気付かずに去ってくれればありがたい。
 気付かれてしまったなら――ひとまず対話だ。
 それには心理的な理由だけではなく、雫たちとの再戦も控えている今、出来る限り消耗は避けたいという現実的な理由もある。
 それでも相手がこちらを害しようとするならば――戦うしかないが。
 陽日輝は拳を握り締め――やがて、真夜中の闇の中でもその人物の輪郭がある程度くっきりしてくるだけの距離まで来たとき、思わず声を上げそうになった。
 ――その人影の正体は、三嶋ハナだ。
 東城一派によって北第一校舎に囚われていた女子生徒。
 その後、辻見一花、井坂帆奈美と行動を共にしたが、『楽園』入りを望んだ一花たちと袖を分かち、その後の消息が分からなくなっていた。
 そのハナが、今、ここにいる。
 目を引いたのは、彼女のブレザーやスカート、そこから覗く脚から靴下、靴に至るまでに付着した、ドス黒く変色したモノ。
 夜の闇の中ですらハッキリと分かる――あれは、血だ。
 そしてハナに負傷している様子が無いことから、それが返り血であることはすぐに窺い知れた。
 陽日輝は凜々花、クロエのほうを再度見やる。
 凜々花は緊張の、クロエは警戒の表情を浮かべている。
 いずれにせよ二人とも、ハナとの再会を素直に喜べるとは思っていないようだ。
 ――『楽園』は、曲がりなりにも殺し合いをせずに生きて行く道を提示した組織ではあった。
 そこに入ることを拒んだ以上、ハナは、生きてここから出たいと考えているはずだ。
 であるならば、あの返り血もその過程で生じたものだろう。
 陽日輝は唇を噛んだ――できることなら、このまま気付かずに行ってほしい。
 現状と未来に絶望しながら死んでいった星川芽衣。
『楽園』の中において、何者かに殺された井坂帆奈美。
 そして、『楽園』でも酷い目に遭わされた挙句、そんな帆奈美を目の当たりにしたことで心が壊れた辻見一花。
 彼女たちを見てきたから――ハナと戦いたくない。殺したくない。
 だが、そんな願いとは裏腹に、ハナはこちらに気付いてしまった。
「誰かいるの?」
「――ダメです」
 立ち上がろうとした陽日輝を、クロエは小声で制止した。
「もう気付かれてる。――それなら、あの子とはちゃんと話したい」
 陽日輝のその言葉に、クロエはなおも何か言おうとして――やめた。
 はあ、とため息をつき、「私たちはここにいます。お気を付けてくださいまし」と言った。
「――ありがとう、クロエちゃん。……俺はもう、自分が助けた奴に酷い目に遭われるのは、嫌なんだよ」
 それはきっと、エゴだ。
 じゃあ自分の窺い知らぬところでならいいのか、と内なる声が糾弾する。
 答えはきっと、YESなのだろう。
 こんなものは自己満足の独善、偽善だ。
 それでも、その独り善がりが、この地獄の中で自分を奮い立たせる。
「――久し振り、ハナちゃん」
 陽日輝は立ち上がり、休憩スペースから出ながらそう呼びかけた。
 ハナはピタリと立ち止まり、一瞬驚愕に目を見開いた後で。
 ――その両の目に、大粒の涙を浮かべていた。
「暁先輩――会いたかったです――ずっとずっと――……!」
 その感極まった声と表情に、陽日輝は打ちのめされると同時に、一種の安堵を感じていた。
 ハナはやはり、積極的に他の生徒を殺していたわけではないのだ。
 生き残るために、必死に自分の身を守ってきただけに違いない。
 北第一校舎で見た臆病な姿が、今の涙をこぼす姿に重なる。
「ハナちゃん――無事で良かった」
 陽日輝は、泣きながら抱きついてきたハナを、無警戒に受け入れ――そして。
「うぐっ……!?」
 ――それでも、間に合ったのは陽日輝の反射神経と、凜々花が寸前に「危ない!」と叫んだからだろう。
 ――ハナは、ナイフを手に持っていた。
 陽日輝は窺い知らぬことではあるが、それはハナを奇襲した野々宮修二が持っていたものだ。
 陽日輝は、自分の腹に刺さるはずだったナイフを、左手で鷲掴みにして止めていた。
 ハナの手首を掴む余裕は無かったので、刃を直接掴む形になってしまったが、ある意味ではかえって好都合だ。
 陽日輝は『夜明光(サンライズ)』を発動して、ハナのナイフを焼き溶かした。
 柄と僅か一センチ分程度の刃を残して焼け溶けたナイフをハナはきょとんと見つめてから、後ろ手に放り捨てた。
「ハナちゃん――どういうつもりだ」
 左の掌はナイフを握ったことで数ミリほどの深さで切れている。
 そこから流れ出る血を手首を振って払い落してから、陽日輝は数歩、後ずさりした。
「凜々花もいた。良かった。二人とも無事だ。私も頑張ってここまで来ました。褒めてください暁先輩、何度も死にたくなったけど、何度も死にそうになったけど、私は生きてます。暁先輩にもう一度会うために」
 ハナは、薄い笑みを浮かべながら少し抑揚のおかしくなった声で言った。
 彼女の精神が、一花ほどではないが異常をきたしていることはすぐにわかった。
「暁先輩は酷いですよ。暁先輩との約束があったから、私は死ねなかったんです。生きたいと思ってしまったんです。私なんかが生き残れるはずがないのに」
 ハナの目からは、相変わらず大粒の涙がこぼれ落ちている。
 微笑みながら泣き続ける彼女には、不気味さ以上に痛々しさがあった。
 ――ハナが言わんとしていることは伝わった。
 それこそ、先ほどまで一花絡みで考えていた、自分のエゴにも関わる部分。
 自分がハナに与えた希望が――ハナをここまで追い詰めたのだ。
「余計なことは考えないでくださいまし、陽日輝!」
 自分の胸中を察してか、クロエが休憩スペースのほうから叫んだ。
「ハナ、あなたは自分の命すら、陽日輝の責任にするつもりですの!? あなたは間違いなく陽日輝に救われたはずですわ! そんな優しい男を、あなたは自分勝手に糾弾するんですの!?」
「――クロエちゃん――」
 意外だった。
 クロエがそんな風に言ってくれることが。
 しかし、ハナはここで一転、大声で叫んでいた。
「分かってる!! ――そんなの分かってる分かってる分かってる!! 分かってるけどそれがなに? 私はいま、苦しいんだから!」
 ハナはそう言って、こちらに右手を突き出した。
 陽日輝は反射的に右腕を盾のように突き出して防ごうとしたが、ハナの手がこちらの腕に触れるよりも先に、何か硬い感触が腕全体に当たった。
「なっ!?」
 そのまま、陽日輝の身体ごと右腕が押し返されてしまう。
 思わず数歩後ずさりしたところで、陽日輝はハナが何かしらの『能力』を使用したことを悟る。
 念力? それとも衝撃波か?
 右腕に今なお残る鈍い痛み――何かしらの力によって押し返されたのは間違いないが、それが何かが分からない。
 ハナは、ふらふらとこちらに近付きながら言った。
「私を救ってくれるというなら、私を殺してください、暁先輩。それができないなら、私に殺されてください、暁先輩」
「そんなの……どっちも、できないよ」
 ハナを殺したくない。
 だけど、ハナに殺されるわけにもいかない。
 陽日輝は、こちらを心配そうに見守る凜々花のほうを見やった。
 ――そのときだ。
「ふうん、やっぱりそういうコトになるか。ま、分かっちゃいたけどな。それを承知でお前らにコイツを会わせた俺も悪ぃ奴だなぁ……でも仕方ないよな。それが生還への近道だ」
 聞き覚えのある声がして振り向くと、そこには『楽園』で共闘した男子生徒――鹿島鳴人がいた。
 口ぶりからして、ハナと行動を共にしていたのだろう。
 それも――ある程度、事情を理解した上で。
「鹿島さん――!」
「そんなツラで見るなよ、暁。俺はお前らのコトは嫌いじゃない。だけど戦力として脅威なのは事実だからよ、削れるチャンスができた以上、三嶋ちゃんに便乗させてもらうことにしたんだよ」
 鳴人はそう言って、手の中で遊ばせていた野球ボールらしきものを投げた。
「俺の能力は、もう知ってるよな?」
 陽日輝は身構えたが――鳴人が投げたボールは、途中で鋭角に進路を変え、凜々花のほうに飛んでいった。
「凜々花ちゃん!」
「大丈夫です!」
 凜々花は素早くカードを投擲した。
 それとほぼ同時に、クロエも『硬水化(ハードウォーター)』で固めた水滴を何発も飛ばし、弾幕を張る形となる。
 ボールはそれらの直撃を受けて砕け散った――が。
「そこの二人みたいな能力が俺の『変可球(バリアブルボール)』にとっては厄介だからよ。対策はさせてもらったぜ」
 砕け散ったボールの中から、一回り小さな鉄の球が姿を現していた。
 ――鳴人が『変可球』で操っていたのは、その内側の球だったのだ。
 球形のものしか操作できない能力である以上、そのモノを球でなくしてしまえば解除することができる――と考えての凜々花とクロエの弾幕だったが、二人が破壊に成功したのはガワの部分だけ。
 もちろん、分かっていれば対応できただろう――しかし、そういったギミックは初見の場合においてはかなりの効果を発揮する。
 現に凜々花は、ボールを破壊できたと勘違いした際に生じた僅かな油断の分、反応が遅れてしまい。
 ――その小さな鉄球を、右目に食らっていた。
「あうぁっ」
 短い悲鳴と共に、凜々花が背中から倒れ、陽日輝の視界から消える。
「凜々花!」
 クロエは、囲いの内側に倒れているであろう凜々花に呼びかけたが、すぐに囲いを飛び越えて休憩スペースの外に出てきた。
「クロエちゃん、凜々花ちゃんは!?」
「勢いが弱まっていたので命には別状ありませんわ!」
 右目が無事かどうかを言わなかったのは、こちらに動揺を与えないためか、鳴人に情報を与えないためか。
 陽日輝は食い下がって聞きたい衝動をグッと堪えた。
 それでも、怒りは激しく沸き上がり、叫びとなって口から飛び出す。
「凜々花ちゃんに、よくもッ!」
「やっぱりその子が一番大事なんだろ? だったら無責任に誰も彼も助けようとすんのはやめたほうがいいぜ。そういうトコが三嶋ちゃんの恨みを買ったわけだし、それにお前、辻見のことも守れてねえみたいじゃねえか」
「!」
 そうだ――鳴人は、自分たちが一花を連れて出たことを知っている。
 陽日輝は言い返そうとして――背後から冷たい気配を感じ、振り返った。
 ――ハナの涙が止まっていた。
 その顔に貼り付いていた薄い笑みが消え、不気味なほどの無表情だ。
「辻見先輩と一緒にいたんですか」
「…………ああ」
「辻見先輩を守れなかったんですか」
「…………ああ、そうだ」
 あるいは嘘を吐いたほうがよかったのかもしれない。
 雫や羽香音の名前を挙げて、そうなった弁解をしたほうがよかったのかもしれない。
 それがその場凌ぎにすらならなかったとしても。
 それでも陽日輝は、そこで不誠実になることはできなかった。
 一花を守り切れず連れ去られてしまった自分に、そんな資格は無い。
 ましてや、ハナを相手にして。
「……やっぱり私、暁先輩に殺されるの、いやです。だから、私に殺されてください」
 ハナは冷たくそう言って、ゆらりと距離を詰めてきた。
 ――こうして。
 暁陽日輝・安藤凜々花・四葉クロエと、三嶋ハナ・鹿島鳴人による殺し合いの火蓋が、切って落とされてしまった。
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紗灯れずく 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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