「ふー……、ごちそうさまでした」
「む、食うの早いな、もうちょい待っててくれ」
私がラーメン一杯食べている間吉原はピロキシとそれじゃ足りないと言いラーメンを追加して食べている。
しかも大盛り……、イイヨナ男子ハ、フトラナクテ。羨ましさ半分妬み半分の視線で睨む。
しかしそんな乙女心など露とも知らずに吉原は五分と経たずにラーメンを平らげた。
「ふひー食った食った、んぉ? どうしたそんなに睨んで」
「ふんっ、何でも無いっ」
そうだ何でも無いのだ、この時期の女の子はどうしょもなく燃費が悪くて。
この時期の男子は憎たらしいほど燃費が良いのだっ!
だから何でも無いのだ、悩むことは……ないのだ……少しくらい太った気がしても。
そう自分に言い聞かせて思わず怒鳴り散らしたくなる衝動をどうにか押さえ込む。
「さーって食うもん食ったしな、次はゲーセンあたりにでも行こうか」
「待てっ! 食べたら戻ると言ったではないか」
吉原は怪訝そうな顔で私の顔を覗き込む。
そのまま数秒見詰め合ったまま沈黙。
…………
「な、なんだ……、言いたい事あるならはっきり言えっ!」
しかし吉原は答えない。
沈黙を保ったまま私を見つめている。
「お、おい、吉原? えぇぇえっと……」
じぃぃぃと、私を見つ続ける吉原に何やらに言い知れる怖さを感じる。
も、もしかして、何か気に障る事でも言ったのだろうか?
それで、お、怒っているのか?
うううう、ど、どうしよう。ど、どどどど、どうすれば。
いや、私は間違ったことは言って……ない、はず?
「……佐々山」
「な、なんだっ!」
思わず声が上擦る、何緊張してるだ私はっ!
ええい、しっかりしろ私。こんな事でテンパるな。
こちらの焦りを知ってかしらずか。
吉原は眉間に皺を寄せ重々しい雰囲気の中告げた。
「金貸してくれ……」
殴った、笑顔だった。