「ふぅ……」
締め切った空間から一歩外に出た時の開放感は、形容しがたいくらいに気持ちいい。
空を見上げると澄み切った青が広がっており、心が晴れて行く気がしたから不思議だ。
「瑠奈ちゃん~おはよーです」
声がした方を振り返ると、手を振ってこちらに走ってくる女の子がいた。
寝癖がついた髪を必死に押さえながら、私に微笑みかけてくれている。
「美樹、おはよう」
「あっらぁ~?瑠奈、元気ないんじゃない?」
美樹の後ろから、肩まで長く伸ばした髪の女の子が現れた。
今までまったく後ろに居たなんて分からなかった。
というか、隠れて走ってきたのだろうか。
「また徹夜で漫画読んでたんじゃない?」
ニヤニヤ笑いながら私の肩をポンポンと叩く。
いや……あんたとは違うから。
「ちょっと昼寝したから、夜寝れなかっただけよ」
「そっかそっかぁ。わたしゃ~てっきり瑠奈もオタク化してくれたと思ったのに」
このお調子者な感じの子は綾香と言って、幼稚園からの腐れ縁だ。
美樹は小学生からだから、今のところ一番古くから付き合っている友達だ。
「全く……女子でそんなにオタクな人見たことないよ」
「ん?ほら、アニメとかじゃよくいるじゃん。らき●たとかねっ」
現実での女子の話をしているんだけど……。
「瑠奈ちゃんは潔癖すぎるですよ~アニメも面白いですよっ」
美樹の口調にはもう突っ込まない。
そうそう。一つ言っておくけど、この二人はオタクである。
自覚しているだけマシなんだけど……。
「バカなこと言ってないで行くわよ。ほら、もうチャイム鳴るわよ」
そんなこんなで、私はこんな友人と学校生活を送っていくのだ。
全く、先が思いやられる。