「ち~っす」
席に着くと前に座っている男子が私にあいさつをしてきた。
スポーツマンらしい短めの髪で、整った顔立ちをしていると思う。
「倉西君、おはよう」
「ち~っす!昨日は落ちたの早かったね」
彼は2年になってからの友人であり、オタクである。
そのせいか、美樹や綾香とは馬が合うみたいだ。
オタクに囲まれている私って……一体。
「ん~眠たかったんだよ。だってもう2時回ってたじゃん」
「私は4時までやってたよ~ギルドのマスタさんがね~……」
おいおい……あんたの睡眠時間は大丈夫なのか?
倉西君は眠たそうに目をこすってあくびをしているが、綾香からはそんなのは微塵も感じない。
改めて、慣れって怖いな。
「そういえば、今週の週末は3連休ですよね」
「そうだったね。……何をしようかな」
「瑠奈は一日中家でごろごろしてそう」
「しないわよっ!」
あの子は私をそういう目で見ていたのか。
綾香の方が一日中いろんな意味でごろごろしてそうだけど。
「田舎とかいいよな。空気がおいしいらしいし」
「ここも結構田舎だと思うよ。それにあんまりお店ないし、つまんないよ」
それを聞くと綾香は嬉しそうに目を光らせ、漫画みたく人差し指を立てて話し出す。
「きっとさ、紫色の髪の幼女に出逢ってさ、『東京に帰れ』って黒梨●モードで言われるよ」
「ひ……ひぐ●し?――東京って……またピンポイントね」
「そかそか。風土病とかありそうだな、そこ」
「毎年6月に死人が出そうなのです……あうあう」
これを聞いた貴方。どうか、止めてください。それだけが私の望みです。 ―高岡瑠奈
「瑠奈も意外と物知りじゃん」
「誰かさんのおかげね」