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苗ちゃんの酢豚の話4

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 運悪く、その手紙を真っ先に目にしてしまった菊蔵の顔は、とても赤く染まってしまった。
ちなみに僕も、思わず目頭が熱くなると同時に、絹子ちゃんの持っていた「そこしれない、やりきれなさ」に、どこか共感してしまった。
僕も、顔を赤く染めてしまったのだ。隣にいた吉田の顔も、とても赤く染まっていた。みんな、泣きそうだった。
いや、声は出さないだけで、みんな泣いてたのだ。

それから約10分近く、深い沈黙が訪れた。静まり返った絹子ちゃんの部屋は、どこか不気味でいて、やさしい光のおかげで、とても明るく見えた。
僕は、この手紙を苗ちゃんが見ていたことから、苗ちゃんもまた、絹子ちゃんのような悩みに直面してるのだと悟った。
だけど僕も、絹子ちゃんのような悩みを決して抱えていなかったわけではなかったのだ。でも、ひとつ絹子ちゃんと違うのは、
「いつも一緒にいてくれる仲間がいたから」なのだ。だから、思いつめずに、その悩みをすぐ……とはいっても、2か月ちょっとで解決することが
できたのだ。でも、絹子ちゃんの場合はどうだろうか…。仲間もいない……。悩みをもし、誰にも打ち明けることもできず、学校ではいじめられていたの
だとすれば……。それは想像するだけでも辛い……。もし僕が絹子ちゃんのそれに、気づくことができていれば、こんなことには……。

僕の涙が、ほほを伝って「ポツリ」と落ちる。それから、約1分ほどの沈黙。

その沈黙をぶち壊したのは、菊蔵だった。
「なーに泣いてんですか!えっ?僕?…悲しいですよ!でもね、みんなが教えてくれたじゃないですか。死をも、現実を受け止めなきゃ
いけないって」
菊蔵のその言葉を聞いて、僕は泣きそうになった。そして顔を赤く染めた、隣にいる吉田が言う。
「そうだそうだ!!死んだ人間悔んだって、戻ってこねえんだぞ!!だから、な?泣きやめよ有松」
「うん…そうだな。そうしようか」
自分でも信じられないほど、あっさりと僕は言った。

「よし、じゃああんまりここに長居するのもあれだし、あっちの部屋に戻るか!」
「うん、そうだね」
「そうしようか。ところで有松君。お目当ての下着は見つかったかな?」
「えっ…いやその、うわあああ^q^」

陽気な雰囲気を保ちつつ、涙をぬぐって僕ら3人はあっちの部屋へと向かった。
それから5分くらい経ったあと、できた!という声が聞こえて、苗ちゃんがこの部屋へと大急ぎに向かってきた。
「ほーら、できたよー。酢豚ー」
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