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涙の車窓から

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夜汽車に揺られ、僕は窓の外を見た。
火星が近くに見える。
 
僕は地球を離れることを考えた。
彼女のそばにいることが辛いと感じたからだ。
僕は失恋したのだ。
今まで生きてきて、これほど辛いことがあっただろうか。
これまで通り彼女のそばにいて、僕はまともでいられる気がしなかった。
言葉にすると人間の気持ちはなんて安っぽく響くのだろう。
 
そして僕はオリオン・プレアデス経由、アンドロメダまでの切符を手にした。
今、車内には僕しかいない。 
僕以外の乗客は一人残らず火星で下車した。
 
この先もずっと暗黒の宇宙を走る列車の中で僕は独りなのだろうか。
僕はこの孤独に耐えられる気がしない。
辛くても地球にいれば、彼女の美しい笑顔は見ることができただろうに。
だけど今はもう遠くの星の光しか見えない。
そう思うと涙が頬を伝った。
 
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