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「これまでのあらすじ」

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 語り手である「私」は展開に行き詰っていた。次回予告に「文藝・ニノベで人気作家になるために」と書いたはいいものの、新都社で小説を書いて人気作家になるためのこれといった妙案が浮かばないのだ。いわゆる「ニコカツラ」と呼ばれる両名、伊瀬カツラ先生・後藤ニコ先生の名前が「漢字+カタカナ」の組合わせであることを発見した時は小躍りしたものだが、それでどうにかなるほどの甘い世界ではなかった。二人の人気が例外的なのだ。「例外になれ!」と書いたところで読者はどうしたらいいかわからないだろう。
「私」は思った。
 もう駄目かもしれない。
 自分の書くことを参考にして誰かが人気作家になればいいな、なんて。
 誰かの創作活動の助けになればいいな、なんて。
 ついでにコメントやFAが貰えたらいいな、なんて。
 思ってきたことは全部間違っていたかもしれない。
 更新を滞らせておいて「一番大切なのは更新速度」なんて書いたって説得力はありはしない。
 もういっそ投げてしまおうか。

 しかしそんな「私」の更新停滞を狙い打ったかのように、新都社に新機能が追加される。文藝・ニノベ作品を、Neetel登録作品限定だが、縦書きで読めるようになったのだ。「私」はその読みやすさに驚く。また、この機能追加前と後とでは、新都社の小説について語る内容が全然違ってくるのではないだろうか。むしろ更新停滞させていてよかった、とまで思うようになった。

 そして立ち直った「私」は敢然とテキストファイルを開く。
 新都社で小説を書いて人気作家になることはとてつもなく困難なことかもしれない。
 しかし、人に読まれる作品にする、ということに重点を置けば、ひょっとして自分にも誰かを助けられるのではないか。
 そして、投げ出さなかったことで、自分自身をも救えるのではないか、と。

 思い上がりにも程がある、とどこからか声が聞こえてくる。
 おまえの書いていることなんて、よくある意見をまとめただけだ、と「私」に語りかけるものがいる。
 そんなことは分かってる、と「私」は言い返す。
「だからといって、書かない理由になんてならない」
 さて、再びこの新書を書き始めた「私」は最後まで書ききることが出来るのか。
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