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ハロー・アゲイン(12.09.2012)

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 コクピットのシートに座り、ハッチが閉じて視界を遮断する瞬間。
 何かがコクピットの中に滑りこんで、体当りするようにアリスにぶつかる。
 メガネのずり落ちているその人は、クレアだった。
「何が!ありがとうだ!」
 「く、クレア・・・!」
 怒っている。
 「どうしても行くって言うなら、私も連れていきなさい・・・」
 肩を掴まれて、目を合わせる。
「エリカを失って、今度はあんた・・・またあんたたちPHは悲劇のお別れで終わらせる気なの・・・」
 「あんたたちって・・・」
 目を背ける。
 「私はエリカさんとは違う・・・それに私は思い出したの。私はグレース、グレースなの」
 「思い出したのか・・・」
 「そう、全部思い出したの」
 もう、私はアリスではないのだ。
 「よかった・・・」
 「よかったの・・・?私はもうアリスじゃないんだよ・・・?」
 クレアは、微笑んだ。
「私の大事な人には変わりないよ。アリス、いや、グレースと呼ぶよ。本当の名前」
 そうか・・・そうなんだ
 「私がグレースになっても、クレアは他人にならなくていいの・・・?」
 「もちろんじゃないか。まったく、世話のかかるやつ。グレース、あんたのなかで私はもうどうでもいい人間なのか?」
 私の心のなかでも、クレアは大事な人のままだった。
大事な人で、頼れる親代わりだった。
 「私・・・助けに行かなくちゃいけないの・・・友達を」
 「それが、あんたを呼んでた声の正体か」
 「早く助けないと・・・あの戦場の真ん中にいるの」

この子が行こうとしているところは戦場だ。人殺しの業が渦巻く混沌の地獄。
 グレースのPH能力とこのサイコ・フレームを搭載した機体性能なら、間違いなく狩る側として戦場に君臨することになる。それほどにこの子のPH能力は高いし、この機体も掛け値なしの最新鋭機だ。
 だが、グレースの若い小さな心で、何もかも背負うことはないんだ・・・そのときは、私が背負ってやる。
「一緒に行こう、グレース。それともあたしが乗ってると邪魔か?」
 「ううん・・・。なんだか、クレアが居たほうがこの子への反応がいい気がする」
 親しい人間と居ることで、精神波が安定するのだろうか。そうだといいな、という願望込みで思う。
 「発進するよ、クレア」
 アリスがコールする。
 「プラチナバード!」
 2人を中にやどしたプラチナバードが飛び立つ。
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